ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ27→→→187:狼リサイタル:(死亡・11)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



再び石垣を越え、カザン・オード の崩れ落ちた本丸に辿り着く。
影の戦士の振り下ろす鉄鎚――ザーダの創り出した実体の無い幻影に過ぎない――を擦り抜け、大広間へと歩を進める。
またしても暖炉の陰には死体が倒れており、背後の隠し通路を押し開けていた。
何らかの未知の疫病――或いはザーダが創り出した新たな疫病か――死体を検分し、隠し通路の階段を下りる。


鈍色の廃油と混ざり合った汚水が、音を立てて滑らかな床を流れている。
水の流れる方向へと向かうと、黒い鉄格子が嵌った通路に出た。
鉄格子には奇妙な意匠の飾り板が取り付けてあるのが目を惹く。
飾り板は9枚の三角形の小板からなり、全体の大きな三角形を構成している。
左手の壁を見ると、真鍮製の指針が付いた錆びたダイヤルがある。
ダイヤルの円周を、時計の文字盤のように1〜40までの数字が取り囲み、その下にはレバーがあった。
正しい数字を選ぶか、或いは幾つかの数字の組み合わせで鉄格子が開く、お馴染みの仕掛けという訳だ。
マグナカイの予知か方向認知術があれば、簡単に解ける程度の代物だが………。
暫し沈思黙考する。
4つの数字――3、9、13、33――いずれかが正解だろう。
再び飾り板を見ると、正解はそこに隠されていた。


何事もなく鉄格子の下を通り、奥の通路へと急ぐ。
腐った苔と思しき濃緑色の粘液に覆われた廊下を抜け、下り階段を半分ほど降りた時、予想通りの歓迎が待ち受けていた――吸血蝙蝠の群れだ。
なれど当方に迎撃の用意ありッ!
澱んだ大気を攪拌させる狼の凱歌が死の城塞に谺する。
マグナカイの念波動と動物コントロールを応用し、可聴域ぎりぎりの高音と低音からなる殺獣驚音波発声法…ジャイアンリサイタルだッ!


ボエ〜
ボエ〜
ボエ〜





怪鳥音により聴覚を一時的に麻痺させられた蝙蝠の群れが逃げ散った頃、長い階段を降りきっていた。
階段の下の部屋からは、トンネルが北と東に延びている。
未踏破のトンネルを探索すべく、北へと向かう。


(つづく)