ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ173→→→27:狼名人の冒険島:(死亡・11)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



鼠の大群の狂乱した鳴き声に追われ、悲鳴を上げる脚に鞭打って全力疾走する。
既にザゴザルとの戦闘で負ったダメージはマグナカイの治癒術が回復しつつある。
とは言え、俺とて切りの無い逃走劇にいい加減疲弊しているのだ。
穴だらけの火山岩が剥き出しになった浜の向こう側では、切り立った絶壁から滝が流れ落ちていた。
滝は砂浜に小さな谷間を作って湖へと注ぎ、谷には石で出来た天然の細い橋が架かっている。
しかしより近くで見ると、橋の中央部は薄すぎて人間の体重を支えきれないかもしれない。



細い石の橋を渡るか。243へ。
谷間を泳いで渡るか。108へ。
方向認知術を身につけていれば、89へ。


谷間を泳ぐ――体力点5点を失い、荷物から二つと食糧を失うペナルティがあった筈だ。
歴戦のゲームブッカーに二度同じ罠は通用しない。車田兄ィの漫画と同じ理屈だ。
細い石の橋を渡る――いかにも途中で崩れそうだが、谷間を泳ぐよりデメリットは無さそうだ。
既に明白なペナルティを取るか、確率半々のデストラップを取るか――言うまでもあるまいよ!


橋の中央部。
先頭に立つ鼠の群れが橋の斜面を登り始めた。
ソマースウォード を抜き、鼠の大群を不可視の防御線の限界まで引き付ける。
一閃。二閃。三閃。
鼠たちを狭い橋から払い落とし、水飛沫を上げて眼下の急流に呑まれていくのを見届ける。
落ちたらひとたまりもない高度が守りに易い状況を生み出している訳だが――さて。
様子を窺う鼠の大群と睨み合っていると橋が揺れ、蹌踉めいた勢いで対岸まで転倒した。
一瞬後、突然異様な音が夜の静寂を破り、既に罅の入っていた橋が大音響とともに崩れ落ちた。
これで餓えた追跡者の群れからは安全になり、多少の余裕ができたという訳だ。


再び砂浜を進み続ける。
倒れた塔の破片が、死せる巨人の脊髄のように弓なりに散乱していた。
稲妻が奔り、カザン・オード の胸壁に虚ろに穿たれた大穴が見えた。
恐らくはかつて塔が立っていた箇所なのだろう。
砂浜からは崩れた胸壁に向かって石段が延びているが、ところどころ崩れ落ちている。
狼の身体能力とカイ・マスターの技術を以てすれば、階段が壊れていようが穴が開いていようが一向に苦にならない。
だが、頂上付近まで行くと、階段は完全に途切れ、6メートル程の幅の断崖となっている。
ロープの片端に輪をつくり、対岸の石の突起に狙いを定めて投擲する。
風雨に遮られつつも、二度目の挑戦でロープが目標に引っ掛かった。
おお。
何だか今回の俺は冒険者っぽいマニューバを取っているじゃあないか。
時間を無駄にせず断崖を渡り、カザン・オード の胸壁に辿り着く――



通過パラグラフ:(173)→243→23→150→310→27  治癒術の効果:+3点   現在の体力点:35点


(つづく)