ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ221→→→173:ザゴザル:(死亡・11)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。

カザン・オード最悪の脅威のひとつがこちらを睥睨する

巨大な顔――全体の造作は蟇蛙に似ていながらも、どこか類人的なそれが、目瞬きもせずに俺を睥睨していた。
太った白蛆のように醜く膨れあがったその巨体が這いだしてくると、全身の皮膚を覆う無惨な手術痕が目に入った。
ザーダの創造した怪物は大きく開いた口腔から忌まわしい咆哮を上げ、二足で立ち上がった。
弓を構える暇もなく、巨獣が襲い掛かってくる――



ザゴザル 戦闘力点29 体力点28
二回戦のあとで、戦闘から逃亡したければ、229へ。
隠蔽術を身につけていれば、体力点を失わずに、いつでも戦闘から逃亡できる。70へ。


隠蔽術ですと?
マグナカイの教えの中でも最も使えないとされる隠蔽術が、判定も無しで使用可能ですと?
無論、俺は隠蔽術を身につけていないが、好奇心に駆られて70へと飛ぶ。


成る程。事情が分かったので、221へ戻ってきたが、こういうことらしい。
ザゴザルの視覚と聴覚は何らかの理由によって失われている。
獲物の位置は優れた嗅覚と、蛇のように体温を感知する器官によって把握しているのだ。
隠蔽術で体臭と体温を消してしまえば、安全に逃亡できる、という訳だ。


閑話休題
こいつの武器は硬質の鋭い突起が並んだ長い舌らしい。
高速で繰り出され/引き戻され、触れたものの肉を刮ぎ落とす――さながら鑢の性質を備えた鞭。
正直、その戦闘力はソマースウォード を持ったカイ・マスターにも匹敵する。
しかし俺とて幾多の死線を潜り抜け、いまやザーダの落とし仔と対等以上の戦力を有しているのだ。


乱数表は「9」、「4」、「7」。
跳躍して放った初撃で胴体を半ば断ち割り、その勢いを殺さずに旋回、ザゴザルの舌を半ば斬り落として着地する。
空中での一瞬の攻防。
その代償に、カイ・マントの裾が瞬時に襤褸切れと化し、下に着込んだ鎖帷子が引き裂かれていた。
脇腹の掠り傷を無視して再び跳躍する。
胴体を駆け上り、更なる高みへの飛翔。
黄金に燃え上がった太陽の剣が、巨獣の変形した頭蓋骨を断ち斬っていた。


死を悟ったザゴザルは哀しげな悲鳴と共に、大量の砂飛沫を跳ね上げて倒れた。
半ば砂浜に沈み込んだ巨大な胴体には、太い鉄鎖が巻き付けてあり、小さな金の鍵 が付いていた。
勝利に酔うのも束の間、聞き違うことのない鼠の鳴き声が聞こえてくる――ザゴザルの死により、追跡を再開したという訳だ。
金の鍵 をカイ・マントの隠しに入れ、俺は再び黒砂を蹴って走り始めた。



通過パラグラフ:(221)→271  治癒術の効果:+1点   現在の体力点:32点


(つづく)