ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

地平の果てまで鼠が埋め尽くす

【パラグラフ288→→→283:漆黒の連祷:(死亡・11)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



鮮やかな閃緑色の稲妻がカザン・オード の塔と城壁に不吉な影絵を造り出している。
落雷で半壊した屋根からは、折れ曲がった梁と雨ざらしの内部が覗いていた。
だが、この寂れた廃墟が死の城塞の見せかけの姿に過ぎないことを俺は知っている。
焼け焦げ炭化した蕾――その光射さぬ内奥では、漆黒の邪悪の花が息づいているのだ。


蹄鉄型をした岩礁にある退避港へと近づく。
岸壁には岩に囲まれ乾いた窪みがあり、小船を隠すには絶好の場所と思われた。
城壁の下の岩陰で小さな赤い光が幾つもちらつくのが見えた――警戒しつつ上陸し、小船を岸に引き揚げて岩陰まで運んでいく。
突如、甲高い人ならざるものの連祷が夜の帳を引き裂き、雷光が赤い眼の主を露わにした。
子犬ほどもある大鼠。
餓えきった鼠の群れが、さながら黒い濁流となって恐るべき速さで迫ってくる――



岩に登り、人気のない浜を横切って逃げるか。336へ。
小船を湖へ戻し、入り江を離れるか。117へ。
その場にとどまり、押し寄せる巨大な鼠の群と戦うか。45へ。


ソマースウォード を抜き、濡れた砂を蹴って鼠の大群へと疾駆する。
今や鼠たちの鳴き交わす声は、『飢餓』という一匹の獣の呪詛に満ちた唸りと化し、湿った大気は息も詰まるほどの悪臭で満ちていた。



巨大な鼠の群れ 戦闘力点15 体力点80


光の伝授のサークルを修めていることにより、俺の戦闘力は今回に限り2点高くなる。
既に戦闘比は念撃を加え+19。
いかな体力点が80あろうと、3割の確率で1ターンキルが発生するのだ。
狼の咆哮に応え、黄金の剣の刀身に焔が奔り、振り下ろす剣尖から死の熱波が放たれる――


(つづく)