ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

凶暴な蝙蝠を念波動で追い払う

【パラグラフ180→→→パラグラフ164:魔の罠の城:(死亡・10)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



深呼吸し、連続して一定の高さで声を出し続けるッ!
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!」
更に声の高さを俺自身の聴力の限界まで徐々に上げていくぞッ!
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!」
マグナカイの教えの応用ッ!動物コントロール――そして念波動――の技術を同時に操るッ!
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!!」


狼の咆哮が蝙蝠の鋭敏な感覚を悉く麻痺させていく――
「………アリーヴェデルチ(さよならだ)」
一斉に金切り声を上げた蝙蝠たちは、身を捩らせては壁や天井に激突していった。
僅かに生き残った蝙蝠が暗闇の中に飛び去るのを見届け、階段を駆け下りる。


階段の下には小部屋があった。
これといった特徴の無い部屋だが、奥に武器棚が吊られている。
武器棚にあるのは、幅広剣
今後、ソマースウォード と違うダメージ属性の武器が必要になる局面もあるだろう。
という訳で、せっかくだからを選ぶぜ!


小部屋からは、松明に照らされた二本のトンネルが出ていた。
それぞれのトンネルは北と東に向かっている。
マグナカイの方向認知術を用い、詳細な観察を元に進むべき道を検討する。
北のトンネルの床には、埃を被った敷石の上に無数の小動物の足跡が残っている。
対照的に、東のトンネルの床に埃一つ落ちていないのがいかにも不自然だった。
してみれば、東のトンネルには何かがあるのだ。


東のトンネルに向かうべく部屋を一歩出た途端、何の前触れもなく、背後に鉄の扉が降りてきた。
退路を塞がれた――と思う間もなく、遠くで鎖のざらつく音と閂の動く音が聞こえてきた。
反射的に太陽の剣を抜刀し、攻撃に備えて構えること暫し。
どうやら敵の襲ってくる気配は無いようだ。
構えを解き、トンネルの奥へと向かう。


数歩進むと、何処からか微かな囁き声が聞こえてきた。
急に足下の床が消え失せ、奈落への黒い顎と化した。
これまた由緒正しい古典的な罠のオンパレードだが…それだけに底知れぬ悪意を感じる……ッッ!
この作者 ま と も じ ゃ あ ね え ……異常だ!
こいつの精神こそ暗黒空間だッ!
こいつの心の中がバリバリ裂ける…ドス黒いクレバスだッ!
そして俺は為す術無く、石の突出部に激突して意識を失ったまま、未知の深淵へと墜ちていく――


(つづく)