ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

窓の外の崩れた城壁

【パラグラフ127→→→パラグラフ27:蜘蛛の巣城:(死亡・10)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



曲がりくねったトンネルを進み続ける。
粗削りの壁面沿いに吹いてくる生温かく湿った風が、硫黄の臭いと何かの腐敗臭を運んでくる。
傾斜した地面の亀裂を飛び越えたり、光源に驚いて岩の隙間から這いだしてくる青黒い虫に注意しつつ、かれこれ1時間以上歩く。
やがて、楕円形の部屋へと出た。
蜘蛛の巣に覆われた階段が、天井にある開いたままの落とし戸へ続いている。
バリアの薄緑色の今や懐かしい光が、室内へと洩れている。
階段の下には、破れた鎖帷子を着た骸骨が転がっていた。
手には錆びた剣が握られ、頭蓋骨の接合部からは、骨の柄のナイフが突き出ていた。


骸骨の鎖帷子を調べるとカクシュの首都ニケサの象徴、十芒星が鎖帷子の締め金具を飾っている。
してみると骸骨は生前カクシュ人の傭兵だったのだろう。
ベルトの革袋の中には金貨6枚 襤褸布と化したナップザックの中にはロープ フード付きの赤い長衣 があった。
取り敢えず先程無くしたばかりのロープ を荷物に加える。
骨の柄のナイフは、頭蓋骨から引き抜こうとすると、粉々に砕け散ってしまう。
剣の刃も、錆に浸食され、使い物にならない。


分厚い蜘蛛の巣を掻き分け、階段を上るが、これが思いの外重労働だった。
やがて、粘着くロープのような蜘蛛の巣は、俺を爪先から頭まで覆い――予想外の速さで縮み始めた!
念波動と念撃は通用しない。
また、体の動きが制限されているので、今回の戦闘の間、戦闘力点は4点少なくなる――



蜘蛛の巣の罠 戦闘力点14 体力点34


とはいえこの程度の罠、カイ・マスターにとっては何の障害にもなりはしない。
ソマースウォード の黄金の刀身が高熱を発し、蜘蛛の巣を灼き斬っていく。
無傷で蜘蛛の巣から逃れ、階段を駆け上り、開け放ってある扉から部屋を出た。



そこで君は、戦闘中に、武器を一個とナップザック
に入れる物一個を無くしてしまったことに気づいた。
(武器は自分で選んで消し、ナップザックに入れる
物は、「アクション・チャート」のナップザックの欄に
書いた二番目の品物を消すこと。)


ゲェーッ!!!
またしても…またしてもアイテム破壊…かよッッ……!!!
勿論ソマースウォード を手放す訳には行かない。
泣く泣く屈指のレアアイテムデュアドンの銀の弓 をアクション・チャートから消す。
そして、ナップザックの二番目――ドーピングコンソメフルーツことアレサーの実 が繰り上がり当選でボッシュート君だ。


部屋を出て辿り着いたのは、小さな倉庫らしき建物の廃墟だった。
ただ一つある窓の割れた硝子の向こうに、崩れた胸壁と焼け焦げた塔の不気味な輪郭が見えている。
俺は暗澹たる思いで、カザン・オード の廃墟を見つめ続けていた。


(つづく)