ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ342→→→パラグラフ193:脳味噌バーン:(死亡・10)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



喉笛に達する寸前でマグナカイの念バリアを発動させ、全身の制御を取り戻す。
熱い黒砂を蹴り、空中で剣を掴むのと一挙動で、触手の尖端を切断する。
血が――或いはこの不気味な脳髄の脳漿と思しきもの――が迸る。
にも関わらず、断面からは音を立てて火花が上がっていた。
脳髄は動きを止め、切断された巻き鬚に沿って炎上しつつ、砂浜の上を漂いだした。


命拾いしたかと思ったのも束の間、突然眩いばかりの閃光とともに爆発が起こり、後ろへ吹き飛ばされる。
脳髄は空中で粉々になり、火球の雨となって砂浜に降り注いだ。
蹌踉めきつつ4点のダメージからようやく立ち直ると、脳髄の残骸は、周囲に散乱してなお燃え続けていた。


暫し砂浜にて小休止する。
どうやら作者は早くも削り殺しにかかっているらしい。
戦闘力こそ不安は無いものの、不可抗力によるダメージの累積が懸念される。
可及的速やかな回復薬の補給が必要なのだ。
砂浜にヤバめのハッパでも自生していれば引き抜いて生食でキメるところだが……
……生憎そんな素敵な偶然は用意されていなかった。


「洞窟がどうも気になるんだ…俺は見てないんだが」
藤岡弘ッ面で独りごちつつ、炎に照らし出された岸壁の亀裂へと入り込むと、2、3分しないうちに薄暗く狭いトンネルへ出た。
外の砂浜からは、奇妙な音が轟いている。
通常の警戒心を忘れ、更に奥へと分け入っていく。
傾斜した床は泥に覆われ、生温かく湿った空気は、腐った魚の臓物を思わせる悪臭を帯びていた。
危機センサーを研ぎ澄ましつつ進むが、周囲が完全な暗闇に包まれたため、一旦立ち止まる。


カルトの火の玉 の明かりが湿った暗闇を照らし出す。
眼前の洞穴の天井からは、無数の鍾乳石がさながら真珠色の槍のように垂れ下がっていた。
時折奇妙な音が物陰から聞こえ、警戒心を緩めず慎重に歩を進める。
ここからは絵に描いたような洞窟探検だ。
「腕白でもいい…大切なのは慌てないこと」
カイ修道院の師の金言を呟きつつ、苔むした岩で滑り、低い天井に頭を掠め、岩をよじ登る。
迷路のような洞窟を進んでいくと、黒い岩を綺麗に刳り貫いて造ったと思しき、滑らかな壁の部屋に出た。
左手には上へと続く階段。
真正面には大きな石の扉。
扉の磨き上げられた表面には、鍵はおろか閂も蝶番も見当たらない。
だが、更に観察を続けると、下の方に小さな鍵穴があった。



金の鍵を持っていれば、333へ
金の鍵を持っていなければ、54へ


恐らく、この扉には魔力が働いている。
金の鍵 ――それ自体魔力を帯びているのだろう――とやらを持っていなければ、解錠は不可能なのだ。
カイの教えを総動員してその秘密を解明しようと試みたが、扉を守る魔力に阻まれた。
ここは扉を諦め、螺旋階段を上る。


(つづく)