ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

銀の光を浴びて怪物が大聖堂に踏みこむ

【パラグラフ96→→→パラグラフ129:不死の巨獣ダコミド:(死亡・10)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



巨大な怪物が一足ごとに床を揺るがせ、地下聖堂に踏み込んできた。
『地獄穴』に巣喰う、邪悪な知性ある太古の巨獣。
月光に映しだされたその醜怪な姿に軽い吐き気さえ覚える。
鋭い棘のような剛毛の生えた節足はどういう筋肉のつきかたをしているのか奇怪に捻れ、曲刃のごとき鉤爪を備えた8本指が耳触りに石畳を掻く。
這うように歩き、時に後肢で立つ。前肢にしても、むしろ手と呼ぶべきなのか判別がつかない。
蜘蛛とも蜥蜴ともつかぬ頭部は地獄の燐光を帯び、病的に黄色く腫れた瞼から、そこだけは類人的な邪悪そのものの瞳が俺を捉えている。
爬虫類めいた長い尾が絶え間なく空を切る音とともに、裂けた顎からは意味不明の歯擦音が混じった冒涜的な韻文を喚きつつ迫ってくるのだ。
悪夢めいた怪物に近づかれたくない一心で矢を放つ。
熟練の最適化された動きでデュアドンの銀の弓 を番えるが、本能的な恐怖で手は震え、矢は巨獣の瞼を掠めて頭上の壁を砕いた。
二の矢を次ぐ暇は無い。
巨獣は襲い掛かろうと曲刃の鉤爪を振り翳す。
圧されまいと無意識の内に咆哮していた。
戦いで壊れぬよう弓を背後に放り投げ、ソマースウォード を引き抜き、月光に輝かす――



ダコミド 戦闘力点25 体力点50


念波動と念撃は通用しない。
怪物の体力点を 25 点 以 下 に 下げたら、戦闘をすぐに中止する。310へ。


マグナカイ最強の能力に頼りかけていた俺は、この瞬間絶望する。
念撃も念波動も効かない。
となれば、ここでの戦闘比は僅か+3、いつものように完璧なアドバンテージを保って戦うわけにはいかないのだ。
再び戦いの咆哮をあげつつ、太陽の剣を振りかぶって斬りかかる。
実に体力点50。どれだけタフか考えるだにぞっとしない。しかも妙な注意書きも気になった。
体力点が25点以下になったとき、何が起きるというのか――


まずは踏みこんで一撃喰らわすが(乱数表3)、
得体の知れぬ敵相手で用心しすぎたか逆に浅く胸元を切り裂かれてしまう。
丸太のような前肢の一撃を回避し、小刻みに連打を浴びせて手傷を負わせていく(乱数表5)。
だが、斬りたてても斬りたてても思うように巨体を圧しきれず(乱数表4)俺は歯噛みした。
ダコミドの突進は止まらず、与えたダメージ合計は24、僅かに1点足りない――
唇を噛み、覚悟を決めて被弾前提で踏みこんだ。
振り下ろされる鉤爪を身を低く沈めて回避し、カウンター気味の地を這う一閃。
俺の咆哮に応えて太陽の剣が黄金と真紅の焔を宿し、完璧な軌跡で敵の四肢を斬り飛ばす(乱数表7)―― ッ!!


8点の負傷を負い、全身に浅く血が滲んでいた。何れもが、剃刀のような爪のダメージだ。
ダコミドに35点のダメージを与え、敵を微塵に刻んでいく。
だが、俺は我が目を疑う羽目となった。
引き裂かれ散乱していたダコミドの四肢が、斬り刻まれた肉塊が、それ自体生あるもののように分裂し蠢く。
無数の脚を生やし突進してきた肉片の大群に虚を突かれ、足元を脅かされる。
続けて蜘蛛のように地を這う前肢が、8本指の鉤爪を深々と俺の肩に突き立て、更に体力点を2点奪われた。
激痛と恐怖で冷汗がしたたり、必死に引き離そうと藻掻くがダコミドの爪が俺を離さない。
しかも、こうしている間にも、大量の肉片が集結し、再び鱗に覆われた巨獣を再構成しつつあった。
こいつは、不死身の存在なのか!?


怪物が完全な形になる前に飛びかかって攻撃するか。323へ。
墓を開け、ロアストーンを取りだすか。293へ。

……この2択にすべてがかかっているッッ!!
(つづく)