ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

夕暮れの街道を包囲された都市へ急ぐ

【パラグラフ2→→→パラグラフ235:テカロ再突入:(死亡・10)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



レンダリムの万能薬 を買い込み、いっそ空も飛びかねない勢いで店をあとにリューエン探索に向かう。
気力体力ともに充実、念願のマッドティーパーティーも開催して最早いつ死んでも構わないという気分だ。
……嘘だけど。
これでクリアできないと、さしもの俺も続ける気が失せるからな。
その意味でも、実はナップザックを一つだけ開けておいたのには訳があった。




ソマーランドの地図――金貨5枚
テカロの地図―――――金貨4枚
リューエンの地図―――金貨3枚



街の外れにあるこの地図屋。
クリアの必要条件、あの死と汚濁に満ちた『地獄穴』を抜けるための必需品、つまりテカロの地図 がここで入手できる。
残った金貨12枚から支払って地図を購入。
長らく邪魔だったロープ を捨て、空いたナップザックに放り込む。
これによりナップザックはアレサーの実 ×3レンダリムの万能薬 ×4、そしてテカロの地図
クリアを睨み、一部の隙もない装備だ。
―― 最早この荒れ果てた戦乱の王国に心残りはない。
最終決戦への準備は整った。
ラスボスは何者であるか見当は既についている。
前々回、テカロの地下水道で出会った醜悪なる巨獣。そう、こいつだ↓




いや、多分(?)。
挿絵が無いので確証はないが間違いないだろう。
……一見オバQを圧延ローラーにかけたようにも見えなくもない。


リューエンを発ち、夕刻、エウラに着く。
隊長と別れ、テカロ橋へ向かって戦渦の野営地をどこまでも抜けていく。
無数の軍勢を追い越して馬で進み、日没、遂に、かの『地獄穴』を見下ろす河岸に辿り着いた。
青い肌のオグロン人が少し離れたところで橋舟を作っている。
同じミスは2度しない。声などかけず、気配を殺して橋舟の1つを奪い、静かに櫓を操ってクォール河の対岸へ向かう。
テカロの城壁が聳える土手まで僅か20メートルと迫った時、背後の対岸で押し殺した叫びが響いた。
「止まれ、そこの者!」
一瞬焦るが、声は頭上の守備隊からではない。
オグロン人は波打ち際まで迫り、数名が弓を持ち矢を射かけてくる。
大した腕ではないようだが、船上の俺にとっては十分な脅威だ。



乱数表を指せ。
隠蔽術を身につけていれば、その数に4を加えよ。


・合計が3以下なら、
・4以上なら、


おお。マグナカイの隠蔽術が役立つ場面を初めて発見した。
などと感嘆していた矢先、風を切って俺の太腿に矢が突き刺さった。
見れば乱数表は「3」。弓矢の攻撃から逃れたと思った直後の一撃に下唇を噛み、苦鳴を押し殺す。
頭上には煮え滾る鉛の鍋を用意した守備隊がいるのだ。
矢を引き抜いて捨て、下水道を歩いても感染しないように傷口に応急手当を施した。
これにより2点のダメージだ。
橋舟が土手に着くと同時にその舟を遮蔽物にして身を隠し、『地獄穴』に侵入する。
汚水を掻き分け進むうち生物の気配は消滅し、俺は水音だけが滴る地下水路の分岐点に到達していた。



まっすぐ進みつづけるか。
左の下水道を進むか。
右の下水道を進むか。
テカロの地図 を持っていれば、


この水煙たなびく仄暗い迷宮における唯一の頼り、テカロの地図 を取り出す。
何処かから僅かに漏れる光で、テカロの仕切り壁とその概要が分かった。
外から見下ろしたテカロの様子と地図を脳内で重ね合わせる。
目指す大聖堂は街の中心部。
地獄穴から延びる水路を辿り、2本の支流が合流する地点から約800メートル進んだ先にあるのだ。

(つづく)