ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ100→→→パラグラフ175:狼-野生の闘牌-:(死亡・9)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



バレッタ市内を3倍速で駆け抜け、ありとあらゆるエベントをスルーして旅館へ向かう。
両脚の筋肉が、心臓が、肺が、全身の血液が更なる加速を要求する。
おお。
溢れ出すこの活力。先刻までのやる気のなさが嘘のようだ。
ちなみにガン牌とは麻雀放浪記にでてきた玄人(バイニン)、印南の必殺技だ。
裏返した麻雀牌の小さな印から、相手の役をすべて見通し、勝負を自由自在に操ることができるのだ。
ク……クククッ……クハハハハッ……
金貨5枚を一瞬で8倍にする幻の大技……使いたくて……堪らないッ……!!



旅館の扉を蹴りの一撃で粉砕する。
「俺にも打(ぶ)たせろや!!!」
金を集める傭兵に全財産金貨5枚 を叩きつけ、最前列に陣取る。
おさらいすると、ここで行う賭けは槍を持った騎兵が、歩兵の頭に載せた林檎を貫く危険な遊戯だ。
1度目の乱数表と二度目の乱数表+3を比べ、1度目が大きい時…歩兵が死亡した時だけ俺らの勝ち。
その他は騎兵が完璧に林檎を貫いて勝ち、親の総取りとなる。
賭けのチャンスは3回。1回につき金貨10枚まで賭けることができる。
テーブルを片づけた旅館の端に騎兵が立ち、槍を構えて突進する。
今まさに、その一撃が歩兵の頭上を突こうとす……


ここだッ!


手にした小瓶、アレサーの薬 の中身を即座にキメる。
視神経に膨大なチャクラが流れ込み、知覚のチャンネルが切り替わっていく。
軍馬の蹄が蹴る土埃の一粒さえ、極彩色の乱舞するコマ送りの映像として認識できる。
居並ぶ衆愚よ見るがいい。
これぞ生涯ただ一度披露する狼のガン牌。
因果律さえ発狂するカイ・マスターの第6の絶技、開・眼!!




「 秘 奥 義 ! !



目 を 開 じ な い で 乱 ・ 数 ・ 表 ! ! ! ! 」



見えるッ!見えるぞ因果の流れ……乱数表が……すべて見えるぞ……ッ!
震えが止まらない手をテーブルに叩きつけ、瞬きもせずに乱数表の数字を連撃するッッ!!!
奇蹟の1撃目は……「9」と「0」!!俺の勝ちだッ!
2撃目は「9」と「0」、これも勝ち!
そしてオーラス!最期の一撃までが、吸い寄せられるかのように「9」と「0」ッ、だァ――――ッッ!!!!





クラァァァ!!!!!
総取りだァァァァ――――!!!!!!
5枚が10枚に、10枚が20枚に、20枚が……40枚にィィィェッヒ!!!
握って突きあげた拳が天をも穿つ。
いつしか俺は喉が裂けんばかりの怪鳥音を発していた。



『賭けに勝つ = 騎兵が手元をしくじる』なので、騎兵は3人もの仲間を殺してしまったことになるが………
そんなこと知るかッ!!
勝負は勝負っ、こっちだってアレサーの薬 を泣く泣く使ってやってんだっ!
「ヒャハハァホホゥ――――ッ!こいつは頂くぜッッ!!」
傭兵の手から金貨袋を奪い取り、意気揚々とカウンターに引き上げた。
やった。やったったぜ。
40人からいる傭兵たちの面前で、幻のガン牌を……
かァーッ!なんてェ充実感だ…………心地いい空しさが、ひたひたと押し寄せてくるじゃあねーか……
……こんな反則業、2度と使えねーと心に誓う。




―― あとは特筆なし。

(つづく)