ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ249→→→パラグラフ269:地獄の紗幕:(死亡・8)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



錆の浮いた鉄格子をくぐり、悪臭漂う汚水を腰で掻き分け、テカロの下水道へと入っていく。
鉄格子にぶつかって波立つ水面には、鼠や昆虫にとってのフルコースが浮きあがり絶えず押しつ引かれつしていた。
しかし奥へ進むにつれ、小動物はおろか一切の気配が死に絶えた……悪い兆候だ。
『地獄穴』の奥で何が待ち受けるのか。
脅威に備えて装備を再確認し、体力が15点まで落ちていたので2服の回復薬をすべて使いきる。




【アクション・チャート 恐怖の王国】  ローン・ウルフ 9人目(8度死亡)


能 力 値   .


・戦闘力点25(12点+2+2+8+1

・体力点35(28点+4+3)→今は23点。

・金貨11枚


マグナカイの教え(階級:カイ・マスター・スペリオル)   .


・方向認知術

・隠蔽術 ・上級狩猟術



習得した伝授のサークル   .


・太陽のサークル(戦闘力点+1、体力点+3



装備(武器 2つまで)   .


矢筒と矢(矢筒1つに6本まで)   .



・ソマースウォード(太陽の剣 戦闘力+8)

・なし



・矢筒:なし   ・矢:なし


特別な品物   .


ナップザック(8個まで 満杯)  .



・水晶の星型のペンダント

・銀の兜(戦闘力+2

・盾(戦闘力+2

・鎖帷子(体力+4

・カルトの火の玉

・ダイアモンド

・瑪瑙のメダル

・銀のブローチ

・リューエンへの切符(邪魔なので捨てた)





バレッタの地図

・ロープ

・濃縮アレサー(一時的に戦闘力+4)

・アレサーの実(戦闘力+2)

・アレサーの実(戦闘力+2)




戦力は充分だ。
タイル張りの天井には、上層の都市から出た汚水を流すための排水溝が等間隔に空いている。
だが、この排水溝はあまりに狭く、幾重にもこびり付いた滑る水垢の為、登ることはできない。
下水道に入り15分後、大きな合流点に辿り着く。




まっすぐ進み続けるか。
左の下水道を進むか。
右の下水道を進むか。
テカロの地図 を持っていれば、



唇を歪め、11枚の金貨袋を握り締めた。
あの時地図を買っておけば……詮無きことを思う。
感覚が汚水で麻痺したのか、マグナカイの方向認知術が働かず、南北の区別も失っていた。
……迷宮への顎が狼を誘う。
大聖堂へ向かう方角さえ知らぬまま、左の下水道に蟠る闇へ、足を踏み入れた。


地下道は徐々に東へ曲がり、明るくなっていく。
暫く進むと小部屋らしき空間が近づいてきた。
不意に部屋の中で緑色の光が弾け、天井から薄く蜘蛛の糸を綯い合わせたようなカーテンが通路を覆っていることに気づく。
進み続けるなら、カーテンをくぐらねばならない。




カーテンをくぐるか。
武器でカーテンを引き、それからくぐりぬけるか。
動物コントロールを身につけていれば、



5巻に及ぶ試練を切り抜けてきたカイ・マスターの目は騙せない。
これは罠だ。
動物コントロールが必要であること、「蜘蛛の糸」とあることから、動物の巣である可能性が高い。
戻る選択肢が無いということは、死に至るパラグラフではないのだろう。
……体力点を奪い取り、消耗を狙った罠というところか。
とはいえ、用心に越したことはない。
弓は無いのでソマースウォード を抜き放ち、金色の刃に力を得て、カーテンを引き開ける――





脇に払った途端、それは蛇のように身を捩り、捻れ、餌に喰らいつくかのようにソマースウォード に襲い掛かった。
次々と触糸が湧き出しては枝分かれし、侵食するかのように凄まじい速度で刀身を這い登ってくるッ!!
渾身の力を込めて剣の柄を引くが、粘りつく生きた紗幕は弛みもしない。
更に絡み付く粘糸が手首へと伸び、思わず手を離してしまう。
ソマースウォード の金色の刃に焔が灯りかけ―― しかし、その威力は発揮されることが無かった。
見る間に糸状の群体生物がソマースウォード の刀身を溶かし、貪りだす。
恐慌のあまり震える脚を制御できず転びつつも、合流地点を目指して全力疾走する。
かつて無い程死に近づいていたのだと悟り、激しい動揺に心臓を鷲掴みにされていた。
在り得ない。
太陽の霊質をもって人外の鍛冶師が鍛えた伝説の剣が……
驚愕は思考を停止させ、在るべき言葉が出てこない。
20人の生命を喰らい尽くした『地獄穴』。
今、その罠によってソマースウォード が、喰らい尽くされた―――― !!!




まっすぐに進むか。
左の下水道に入るか。


(つづく)