ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ253→→→パラグラフ :ファッキンガム神殿:(死亡・7)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「雨に濡れずにすみましたね」
陽気な主人が雫となって窓をつたう水滴を指さし、言う。
「今夜は間違いなく嵐になりそうですよ」
ハーフウェイ旅館の相場は実にお手頃だった。
一泊金貨2枚の部屋が空いており、馬の世話で金貨1枚、黒パンと固茹で卵の食事を買うなら金貨1枚だ。
今食事をとらないと、体力点を3点失う。
……と、ここで気がついた。
もし…あくまで仮定の話ではあるが…
金が無かったら、嵐の中に追い出されるのだろうか?
ほんの好奇心から 秘 奥 義 ・ 指 は さ み ノ ゾ キ を使う。


馬屋で馬と一緒に寝るしかない。
馬屋はすきま風がひどく、おまけに湿っぽくて、寝苦しかった。
君は体力点を 2 点 失 う。


おお。
つまり、俺はバレル・ブリッジ居酒屋で傭兵たちのビール代を金貨8枚を払って文無しだったとしたら。
ここで死ぬことが有り得るのか?



同じように体力1点で切り抜け、ハーフウェイ旅館まで来る

文無しなので賭けもできず、治癒術で回復するパラグラフ数も減る

カウンターで邪険に扱われ、飯抜きで体力−3+宿抜きで体力−2=死亡!

『ローンウルフ8人目 再起不能(リタイア):死因『いわゆるひとつの野垂れ死に→To be continued 』


みたいな。
だとしたらかなりの鬱展開だなあと思ったのですが。
再計算すると、治癒術さえ身につけていれば絶対に体力点が1点残るような作りだと判明。
意外にUKに坐す創造主ジョー・デバー神は優しいのかもしれない。
そうか…世界は素敵な神様に見守られていたのかもなあ…。
ハートウォーミングかつドリーミーな寝言を呟きつつ宿に泊まり(食事は自前で)熟睡する。
翌朝。
心地良い朝風に目を覚ました俺は、部屋に差し込む心地良い光の中、ナップザックに心地よく開けられた鼠穴を発見した。
……特別食料3食分 、全滅。


一晩で前言撤回した。
何金払ってこの仕打ち…巫山戯てるの?
おお!いかな温厚篤実の士として知られるこの狼とて、暁に叫ばずにいられようか!
ファッキンジョー・デバー!
ファッキンUK!
ファック!ファッキンガムファック!


憤慨しつつ早朝の街道を行く。
外は雨に濡れた草の匂いがし、街道脇の緑が輝いていた。
東の森から太陽が昇り、街道の両脇まで山から漂ってきた霧が立ち籠めている。
正午までに小さな村に着いた。
敷石を敷きつめた広場を囲んで派手に飾りつけられた小屋が並び、広場中央には玉葱型の円蓋を持つ寺院が建っている。
日陰には数人の老婆が座り、橙色の果実の手入れをしていた。
その瞬間、マグナカイの治癒術の知識が脳裏を駆け巡る。
艶のある果実がドーピングコンソメフルーツことアレサーの実 であることが分かり、ゾクリと身震いした。
この貴重な果実は一時的に戦闘力を増す効果があり、いつもここ一番でお世話になっているのだ。
それが鈴生りになっている様は壮観で、見ているだけで空だって飛べそうな気がしてくる。
「戦士の神殿へようこそ……」
俺の熱視線に気づいた老婆が、アレサーの実を差し出す。
「……お主もこの神聖な果実をどうですじゃ!」
「……買える限り頂きますじゃ!神聖な果実を!その凶悪無比の飛び道具を!」
死魚のごときジェダイマスターの目でそう言うと、老婆はケヒヒッと怪鳥音を洩らして笑った。
金貨9枚を払い、3個のアレサーの実をめでたく購入。
パンパンになったナップザックを背負って旅を再開する。
麗しの古都バレッタが近づきつつあった。




通過パラグラフ:(134)→272→250→123→  回復術の効果:+3点   現在の体力点:12点



という訳ですんで、300回記念はハートウォーミングかつドリーミーな感じでお送りしました……ンガクク。


(つづく)