ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ270→→→パラグラフ :狼vs地獄のゾンビ軍団:(死亡・7)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



ここの局面に至って、一撃一撃が生死を分かつ重みを帯びてきた。
不死者を牽制しつつ戦況を分析する。
3回戦目からは不意打ちの効果が薄れ、戦闘比+3に戻ることになる。
だが、この戦闘比ではクリティカルでも16点しかダメージを与えられず、必ず2回戦を戦わされるのだ。
その2回戦分、冷気で失うダメージ4点を除けば、1点の失点しか許されない。

無傷で済むのは乱数表が8以上のみ。
7でさえ1点のダメージ、6以下は2点以上のダメージだ。

すなわち。

―― 乱数表で6以下を引いた時点で狼は死ぬ。

―― 更に7でさえ二度引けば、累積の2点で同じく死ぬ。



甦った不死者たち 戦闘力点18 体力点35→20

ネクサスを身につけていなければ、寒さのために、一回戦行うごとに体力点を2点づつ失っていく。


冒険者としての全神経を集中し、乱数表めがけペンを下ろしていく。
指先の感覚だけが頼りだ……どうだろう……いけるか?いけそうか?
ゆっくり目を開く―― 乱数表は「9」。
咆哮した狼が不死者の只中で六尺棒を振るい、圧倒的な技量で14点の痛撃を叩き込む。
敵は6点、狼も残り4点だ。
最後の一撃、そこか―― !!


悪寒がした。
咄嗟にペンを引き上げる。


目に見えずとも、何か酷く嫌な手応えを覚えたのだ。
もう一度、深く…深く……そう………
静脈に注射針を差し込むような慎重さでゆっくり、ゆっくりとだぜ……
目を見開いていく。
「7」と「1」の縁、ぎりぎり7の側に、ペンが突き立っていた。


メメタァ―――!!!


とどめの一撃を喰らい、スローモーションで吹っ飛ばされていく……最後の不死者が、だ。
残された体力点は僅か1点。
ギリギリの勝利だった。
最後の不死者を大地に還したが、蹌踉めきつつ立ち上がって教会の庭に近づくと、戦いはまだ続いていた。
結局、ロークはデーモンロードに通じる邪な力を制御できなかったのだ。
地下の霊廟から次々に不死者が這い出して騎兵たちを包囲し、数に物を言わせ馬から引きずり降ろしていく。
今や呪詛は支配力を失い、浅薄にも解き放たれた恐怖は生きとし生けるものすべてに襲いかかろうとしているのだ。
部下を見捨てたロークが狂ったように喚きながら馬で逃げだすと、一帯を覆う黒い竜巻が消滅した。
不死者たちは斃れて灰となり、風とともに餌食となった者たちの血溜まりの上を吹きすぎていった。
そうだ……シリルスはどこにいる!?


「ブラス……街……」
自分の血で溢れかえった口を動かし、シリルスは俺をひたと見つめた。
馬の下敷きとなったシリルスを助けだし、マグナカイの治癒術を限界まで引き出し、俺の生命力を分け与えた。
だが、それでもこの老人から死を振り解くには足りなかったのだ。
最後の力を振り絞り、シリルスは俺との約束を果たそうとする。
「ブラス街……バレッタ……グウィニアンという老人を探し……貴方の手助けに」
皺の寄った瞼が閉じていく。
それが、老いた魔法使い―― 俺の友、シリルスの最期だった。




通過パラグラフ:(270)→326→216→46→  回復術の効果:+3点   現在の体力点:1→4点
(つづく)