ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

顔に傷のある貴族が剣の柄に手をかける

【パラグラフ219→→→パラグラフ180:アモリーのローク:(死亡・7)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



足音も荒く居酒屋の広間に踏み込んできたのは、顔に刀傷のある貴族だった。
苛立ちも露わに周囲を睨め付けると、たちまち腰の低い親父と3人の女給が飛んでいって対応に追われる。
大仰な仕草で天鵞絨のマントを親父の頭に被せ、男は横柄に食事とワインを注文した。
混んだ食堂の中を歩く貴族を誰もが一歩引いて避け、本人もそれが当然だと思っているかのようだ。
直線的に広間を突っ切った貴族は、痩せた無害そうな老人が既に座る椅子を後ろから引っこ抜き、老人がいないかのように座りかけた。
「なっ!何をするだァーッ!」
「喧しいッ!長生きしてるだけのしみったれた平民風情がッ!床にでも座ってるがいいぜッ!」
怒鳴った貴族が椅子にしがみつく老人の首を掴んで引きずり下ろす。
「愚か者め!俺の指定席に座るとはッ!」
老人は怯えてしきりに謝るが、逆上した己に酔い痴れたまま、貴族は椅子を蹴倒し、剣の柄に手をかけて仁王立ちになった。
居酒屋の客はまるで芝居か見世物でも楽しむかのように面白がって遠巻きにしている。
苦々しく思いつつも飲み続けようとした次の瞬間、俺は更に驚いた。
貴族の鞘から白刃が奔る。
まさか。
たかがメシの席を確保するために、本気で丸腰の老人を斬り伏せるつもりか―― !?



・弓をもっていれば、301へ。
・弓をもっていなければ、78へ。


別にカイ戦士とて、常に善い者ぶっている正義の味方じゃあない。
とはいえ、俺の中には守るべき最低限のルールがあり……目の前の男はそれを平然と踏み破った。
片手でテーブルを躍り超え、ラウンスパーの小瓶を一息で空ける。
体力に4点を加えて今の体力点は18点
万全とはいかないが構わず飛び込んで六尺棒で剣尖を受け流し、その勢いで貴族の胸を蹴り飛ばす。
「畜生!」
貴族が叫び、哀れな老人を庇った俺をぎらつく目で睨め付けた。
「俺はアモリーの貴族ロークだぞ。俺の邪魔をするとは、向こう見ずな奴だ」
貴族は後ろに下がる振りをして不意に斬りかかってきた。
そんなちゃちな手には乗らず、逆手打ちで振り下ろされる剣を見切ってカイの絶技を披露する。




ローク 戦闘力点24 体力点30
ロークの 体 力 点 が 1 1 点 以 下 に なったら、それ以上戦闘はつづけずに112へ。



やはりロークは相当な剣の達人だ。
野獣の身体能力を得たカイ戦士と互角以上、戦闘比は−3。
だが。
マグナカイの念波動を使えば戦闘比+1となり、形勢は逆転するのだ。
死角から殺気を叩き込むと同時に、地を蹴って残虐な貴族に襲いかかる。



地を這う攻撃から一転、敵の肩を打ち据え(乱数表5)、
そのまま踏み込むと首を振って突きを浅くかわしつつ利き手を薙ぎ払い(乱数表3)、
ほぼ同時に互いの腹に一撃(乱数表2)を叩きつける――


がくりと膝を屈したロークは屈辱と怒りに全身を震わせた。
居酒屋の客の嘲りを浴びながら、ロークは蹌踉めきつつ扉の方へ退いていく。
……まあ、態度を一転させた客を責める訳にもいかないだろうが、然りとてあまり気分良いものでもない。
「今回だけは見逃がしてやろう。だが、覚えておけよ!」
お約束の捨て台詞を後に、派手な天鵞絨のマントが翻り、夜の通りに姿を消した。


通過パラグラフ:(219)→78(戦闘)→180  回復術の効果:+1点   現在の体力点:4点
(つづく)