ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

「船体を傾けるぞ!」バネドンが叫ぶ

【パラグラフ229→→→パラグラフ247:鷲の巣:(死亡・6)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



飛来する蒼い火球に剣尖を向ける。
戦いの叫喚を圧して、黄金の焔の猛りが聴覚を奪い、ソマースウォード と火球が激突する。
轟音を上げて剣尖で炎の色が紫に変じて溶け流れ、咄嗟に俺は頭上でソマースウォード を一閃した。
火球は弧を描いてズランビーストへと弾き返され、断末魔とともにボルダグが有翼獣もろとも爆散する。
太陽の剣の性質が邪悪な魔法を無効化したのだ。
黄金の輝きは敵を動揺させ、戦いの天秤をこちらに傾けたらしい。
再び射台に登り、そこで俺はバネドンに襲いかかったドラッカーを目にする。
首を刎ねようと黒い幅広剣をかざす敵に動揺することもなく、バネドンはドラッカーを指さす。
余計な手出しは魔術師の集中を乱しかねない……固唾を飲んで見守る俺の前で、突如ドラッカーは恐怖に叫び、剣を取り落とした。
鎧の中から無数の虫が這いだしてきてドラッカーを刺しはじめる。
狂乱したドラッカーは全力疾走で甲板から飛び出した―― 数千メートルの上空へ。
バネドンが振り向き、射台の転び止めを指さす。
「掴むんだ、ローン・ウルフ」続けて大声で小人に叫ぶ。「傾けるぞ!!」
狙いに気づき、俺は慌てて体を支えた。
主の操作に反応した「スカイライダー」が、引っ繰り返した笊のように一瞬でほぼ垂直まで船体を傾ける。
この戦法に慣れているらしい小人たちは船底の貝のように船体にへばりつく。
……反応できたドラッカーは1人もいなかった。
幾つもの絶叫が虚空に消えていくと、水平に戻った甲板上で小人たちの勝ち鬨が湧き上がった。
「目には目を!!」



クースの空の旅は、驚きの連続だった。
この世の物とは思えない奇怪な風化を遂げた岩の塔の間をどこまでも船は進んでいく。
単調な砂の不毛な荒野に現れた一種異様な光景は、さながら夢の領域だった。
茜色に裂けた眼下の大地からは熱水が溢れ出し、溶岩と混ざった途端、途轍もない蒸気を噴き上げる。
生き物のようにうねる溶岩は灼熱の蛇となって大地を這っていく。
イカレシュは『鷲の巣』という意味だ」
バネドンが説明した。
「流離いのティパサはその名のとおりドライ・メインを放浪しているが、最後はいつも生まれ故郷のこの町に帰ってくるんだ」
クースを越えたのは午後も遅くなってからだった。
イカレシュを見下ろす丘の陰に飛行船を隠し、バネドンと2人で歩いてイカレシュに向かう計画だ。
茶褐色のコーパラベリーを皮膚に擦り込んで北方人の特徴を隠し、この山の町の住人と同じ、灰色と白の長衣に身を包む。



通過パラグラフ:(333)→258→267→394→306→247→  回復術の効果:+5点   現在の体力点:20点
(つづく)