ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ327→→→パラグラフ323:空中戦:(死亡・6)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



心・技・体揃った完璧な斬撃が、ドラッカーを袈裟斬りにし、返す刀でクラーンの翼を断ち割った。
有翼獣の断末魔の絶叫が眼下の大地まで尾を引く。
だが、俺の騎乗するイチカーも限界だった。
落下していく視界に現れる飛行船。
盟友バネドンの顔がこちらを向き、またも乱数表の三択が出て、そして――



またしても、この局面で9が出るかね。魔女の婆さんに呪われたか?



「秘 奥 義 ・ サ イ コ ロ 交 換!!」


『今回の9と、次回以降の4以下の数字を交換』するッッ!!
大地に叩きつけられる筈だった体を魔法の網が包み込み、ダメージも無く船へと運ぶ。
甲板から手を伸ばした頑健な小人たちが俺を引っ張り上げてくれた。
だが、息つく間も無く、飛行船は今まさに戦場になろうとしていた。
俺を追ってきたクラーン編隊が、乗組員たちに襲いかかってきたのだ。
張り出し板の端で、小人の1人が怒号をあげるドラッカーに追い詰められている。
俺に気づいたドラッカーが、とうに気を失っていた小人の首を絞めあげる手を離し、更に殴り倒す。
怒りに任せて抜刀した俺は最速で踏み込んだ。



ドラッカー 戦闘力点18 体力点25

攻撃のスピードのため、一回戦に限り君は体力点を失わずにすむ。


一撃必殺の軌跡が、黄金の炎をあげて鉄兜ごと正中線を断ち割った。
放り出された小人を追って甲板を探すと、幸運にも彼は船外の網に引っ掛かっていた。
一安心する間もなく、何か不穏な戦いの本能にかられて船首に向かう。
射台に辿り着いたとき、絶望的な戦いが目に入った。
バネドンが左手を槍で串刺しにされ、ドラッカーの剣を右手の杖でかわそうとしている。
俺が咆哮を上げて飛びかかるのと、ドラッカーが向き直るのが同時だった。



ドラッカー 戦闘力点18 体力点25

・3回戦までに戦いに勝ったら、288へ。
・4回戦以上かかったら、ただちに382へ。


数えるまでも無い。
俺自身は傷一つ負うことなく、怒涛の二連撃がドラッカーの守りを斬り崩す。
呪詛と血反吐を吐き出し、敵が倒れる。
傷ついた盟友バネドンを助けに駆け寄るが、戦いは終わっていなかった。
クラーンに乗ったドラッカーが船縁に浮上し、俺の頭めがけて矢を放ったのだ。



まずい。
この矢は、絶対にかわせないタイミングだ――



だが、矢は見えない壁に弾き返され、甲高い金属音をあげた。
咄嗟のバネドンの防御呪文が間に合った。
ばつの悪そうな笑みを浮かべ、バネドンがのろのろと杖を下ろす。
……久しぶりの親友との再会。
だが、久闊を叙するのは後にまわし、槍を引き抜いてバネドンの手当てをしていく。
気がつくと、長衣がジャーニーマスターのものになっていた。
魔術の研鑽を積み、俺と同じようにバネドンもまた魔術師の位階が上がったのだ。
「どうやら我々は奴らの仲間と出くわす運命にあるようだな」
ふらふらと立ちあがったバネドンが飛行船の舵を握り直したたとき、爆発音が響いた。

(つづく)