ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

不死者ボルダク

【パラグラフ343→→→パラグラフ203:インラヒム湖上空:(死亡・5)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



遙か眼下を塩湖であるインラヒム湖が流れ去っていく。
まんまと俺を取り逃がした帝都バラキーシュを振り返って咆哮をあげる。
狼の叫びはただ冷たい上空の風に運ばれていき……


それに応えるかのように、ダークロードの有翼獣クラーンの鳴き声が返ってきた。
雲霞のごとき敵の大群を目にして恐怖が戻ってくる。
しなやかな皮の翼を持つクラーンの背にはドラッカーが騎乗し、1キロ半ほどの差を徐々に詰めてくるのだ。
夜の闇が俺に味方するまであと1時間はある。


バラキーシュ周辺図



巻頭の地図をよく調べて進む方角を決めよ。

・南のダハール峠に向かうか、264へ。
・東のチューラの町へ向かうか。244へ。



無論、地図を調べたところで何も分からない。
このシリーズではよくこの手の選択肢があり、残念ながら地図にヒントなど載っていないのだ。
熟考して、南の山脈へとイチカーを向ける。
敵を撒くのに平野より有利な気がしたからだ。
だが、それから間もなく、強風に乗ってガラスを引っ掻いたような金切り声が響いてきた。
咄嗟にカイの精神防御で防ぐが、これは敵の強力な念撃なのだ。
俺と違い、イチカーはその攻撃をまともに食らい、狂ったように頭を振り立てた。
苦しむイチカーの速度が落ち、相対的にクラーンが高速接近してくる。
騎乗する赤衣のボルダクは両手を広げ……


千メートルの上空で、躊躇いもなく身を躍らせた。


風を切って落下してきた不死者の骨ばった手が、イチカーの背骨に喰いこんできた。
苦悶の鳴き声をあげ、バランスを失ったイチカーは俺ごとインラヒム湖に墜落していく。
不死者を滅ぼす太陽の剣、ソマースウォード はここに無い。
力ずくで引き剥がすしかないのだ!



ボルダク 戦闘力点17 体力点25
念撃はこの敵に通用しない。


錐揉みしつつ高度を下げていくイチカーの背で、ボルダクの鉄鉾と俺の戦闘用ハンマーが火花を散らす。
戦闘比は+6、一撃死こそ狙えないが十分に必殺の間合い。
―― 乱数表は1、3。
立てつづけのファンブルで逆に 体力を7点も削られ、残り体力僅か2点まで追いこまれる。
生死の境で3撃目は……1……!!?



「秘 奥 義 ・ 薄 目 de サ イ コ ロ ご ま か し!!!」



汚いとか相変わらずダサいネーミングだとかいっている場合じゃあない。
反射的に乱数表を選び直す。
とどめの3撃目は……「9」。
赤い長衣を翻らせ、ボルダクは断末魔の悲鳴を引き延ばして落ちていった。
再び手綱を握り、体勢を立て直そうとしたが、そこまでだった。
出血多量で瀕死のイチカーと、重傷を負った俺。
巨鳥と騎り手は石ころのようにインラヒム湖へ墜落していく―――― !!!

(つづく)