ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ201→→→パラグラフ279:第二部・決死行:(死亡・5)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



忍び寄るドラッカーと戦闘犬アカタズを察知し、俺は走りだした。
犬と戦わずに逃げられると分かっている以上、無駄な戦闘はしない。
体力もいつの間にか6点まで落ちているのだ。
どこかでラウンスパーの薬を飲むタイミングを計らねば……
その時、ハーコンの持つ蒼い魔石から死の雷光が放たれた。
巻きこまれたドラッカーが消し炭となり、その剣が肩をかすめる……!
思わず毒づいた。
前回はほとんど気にも止めなかった 2点のダメージ
それが此れ程までに重い。
たまらずラウンスパーを飲み4点回復、それでも体力は10点に満たない。
いつの間にここまで追い込まれたのか。
あれほど余裕のあった探索行が、突如として凶暴な牙を剥く。
慄然としつつもバルコニーを走り、アーチと階段の分かれ道が近づいてくる。
――アーチは駄目だ。
――前は出会い頭に斧で切りつけられ、3点のダメージを喰らっている……
一度通ったルートだが、通る訳にはいかない。
だが、今の俺にはジレンマに陥る暇すら無い。
胸壁目指して遙かに続く階段にはどんな罠が待ち受けていようと、此方に進むしかないのだ。。
駆け登っていくと、踊り場の石の扉が開き、宮殿衛兵が現れた。
「マジャーン!」
鬨の声をあげて衛兵が曲刀の柄に手をやる。
戦うか、それとも押しのけて階段を上り続けるか。
押しのければ確実に背後から攻撃される。
ならば――


武器を持たないで戦いに挑んだときの戦闘術をカイの師から教わっていた君は、
驚く衛兵の首を絞め、踊り場の端にある低い壁に投げつけた。
衛兵は恐ろしい叫びを上げながら下の敷石にぶつかった。


……額から冷汗が滲む。
一瞬の決断で勝機を掴んだとはいえ、際どい賭けだったのだ。
ふと思いついて向きを変え、衛兵が出てきたばかりの(恐らくは安全な)石の扉に向かう。
狭い通路は射し込む夕陽で茜色に染まっていた。
殺気が四方からひりついてくる宮殿内を走り続ける。

(つづく)