ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ76→→→パラグラフ200:空中庭園:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。




錠を76に合わせ、開くことを期待して青銅の扉に体当たりした。
………何の音もしない。
君は間違った数字を選んだのだ。98へ。


呆気にとられて立ち尽くす。
失敗したパラグラフに、対応した台詞がある。
??
疑問を究明している暇は無かった。
微かな足音が耳に届き、この場にいるのが俺一人でないことに気づく。
振り返り、身を低くして戦いに備える―― この行動が俺を救った。
死角から放たれた毒針がカイ・マントを掠めていく。
退路を阻んで吹き矢筒に次弾を装填する兵士の背後には、棘のある三又鉾を持った兵が2人。
まずは吹き矢を封じるのが先だ――
無防備に立っている吹き矢の兵士まで、跳躍して距離を詰めた。
驚く兵士が吹き矢を構える前に顔面を蹴り付ける。
兵士が鈍い音を立てて後頭部を壁に打ちつけたと同時に、2人目の兵士が鉾を突き出してきた。
素早く避けて三又鉾の柄を掴み、バランスを崩して地面に引きずり倒す。
3人目に向き直ると、棘の鉾が襲いかかってきた。



入口の衛兵 戦闘力点15 体力点23


3回戦までに戦いに勝ったら、101へ。
それよりも多くかかったら、46へ。


速攻が命ときたか……
1ターンと2ターンが9と8、完璧なクリティカルで敵の残り体力は4点。
だが運命の3ターン、よりによって1が出てしまう。


「秘 奥 義 ・ サ イ コ ロ 交 換!!」


迷わず禁断のゲームブック業、14番目のカイの教えを使う。
戦闘力も体力も低い現在、残り2人と不利な条件で連戦する羽目になるのは避けたい。
『次回以降の8以上と、今回出た1を交換』 するッッ!!


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


交換成立。
兵士はとどめの一撃で息絶える。
後頭部を強打した吹き矢の兵士は既に死に、最後の兵士が武器を捨てて逃げ出すところだった。
奴が増援を呼ぶのを防がなければならない。
転がっていた三又鉾を掴み、兵士の背後から思いきり投げつける。
鉾を背中に受け、床に倒れる死体を確かめ、安堵の息をつく。


・金貨4枚 ・ナイフ ・剣 ・アレサーの薬一回分(一時的に戦闘力+2)


ドーピングコンソメスープ発見!!
食料を投げ捨て、空いたスペースにアレサーの薬を収納する。
体力点もマイナス2点。最小限の被害だ。
他に吹き矢筒と眠り矢 も入手する。
兵士の持っていた羊皮紙から、正しい数字が 67 だと確認した。
成る程、いかにも英国人らしいゲームブック的な仕掛けだ……
正しい番号を入力すると音をたてて扉が開き、俺を招き入れた。


本能的に、ここが宮殿上層に位置するザカーンの空中庭園だと察する。


明らかに今までとは違う空気。
煌びやかなオパールやプラチナが惜しげも無く使われているタイルを踏みしめ、無造作に置かれた純金の彫像の間を通り抜ける。
溜息が出る程の豪華絢爛。
前方にある紫水晶の扉が質素に見えるほどだ。
扉の奥には更に美しい別世界があった―― 砂漠の植物園だ。
大聖堂を思わせる高い天蓋は緩やかな弧を描き、潤沢に真水を湛えた庭園は緑の天鵞絨の天幕がかかったかのようだ。
珍しい鳥が囀り、豊かな土壌にはマグナマンド中のあらゆる植物、絶滅した木々さえもが生い茂り、傾き始めた午後の日差しを満喫している。
鉄製のバルコニーに沿って歩くうち、故郷、ソマーランドの樫の葉が目に入る。
懐かしい樹木に望郷の念を掻き立てられ、俺はこの灼けつく熱砂の国を逃れる決意を新たにした。
脱出の欲求に急き立てられ、迷路のような王宮内を駆け抜けていく。
やがて、宮殿の大広間へと続く長い階段に辿り着く。
油断せず、段上の柱の影から階下を見下ろす。
そのとき突然、悪意を含んだ雷鳴のような声が響いた。


(つづく)