ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

アサジール楽団

【パラグラフ37→→→パラグラフ182:野営:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



ひとしきり挨拶を交わしたのち、俺はこの楽団がどこから来てどこへ行くのか聞いてみた。
女団長によれば、アサジール楽団は芝居と歌を生業とし、行く先々で興行を重ねてきたのだという。
彼女らは、東方の生まれ故郷クロアシアからずっと旅を続けてきたのだ。
「前回はエシュナーで演奏したのですが、まるで期待外れでした」
「エシュナーですか」
「あの町は……そう、まるで墓場のように静まりかえって、見に来てくれた人たちもみな悲しげだったのです」
「………………」
「観客に喜んで頂くのが私たちの喜びですから、今はもっと聞く耳を持った人々が集まるだろうホルムガードへ向けて旅しております」
そうだわ、と彼女は手を打った。
「もうすぐ夜になりますし、今夜は私どもと一緒に野営いたしませんか。そうして頂ければ光栄ですし、歌や踊りで楽しんで頂くこともできると思います」
馬車の中でもさざめきが起き、隊員たちも目に期待の色を浮かべて俺の返事を待った。
だが、正直俺としては、デュバル隊長と消えた騎兵隊の行方が気がかりでならない。
こうしている間にも、事態は一刻を争うのではないか……
「気を張り詰めすぎではありませんか、ローン・ウルフ」
「……ダロー」
「自分も任務が心配です。しかし、単調な平原を警戒しながらの偵察行で皆疲れています。その労をねぎらっても良いと思います」
「そうか……そうだな。助言をありがとう」
アサジール楽団の申し出を受けいれると、隊員たちの中から歓声が上がった。
今日の行軍はここまでとし、互いに野営の設置に入る。



―― この決断は、思わぬ情報と、さらなる謎を呼ぶことになった。
(つづく)