ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

nacht_musik2005-10-20

【パラグラフ1→→→パラグラフ273:フルアーマー狼:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



今回の任務は3日間、南ソマーランドの実り豊かな沃野を進むことから始まった。
遮るものもない平野にどこまでも麦畑が続く。
馬上にもかかわらず膝の上まで届く背の高い麦は風にたなびき、馬とともに黄色の海を渡っていくかのようだ。
南部の人々は突然来訪した俺たちを温かく迎えたが、ルアノンに関する新たな情報は得られなかった。
彼らを心配させないよう、最小限の休息のみでさらに南へ向かう。
4日後の昼前、モイチュラ峠に到着した。
平原はここで終わり、足場の悪いダーククラッグ山脈の丘陵地帯へ変わる。
まもなく、南へと一筋に伸びる路面の荒れたルアノン街道、通称【襲撃者の道】へ出た。
この先150キロにわたって危険な街道が続くこととなる。
「前方と側面を偵察しろ。警戒を怠るな」
俺が大声をあげると、すぐに隊員は3つのグループに分かれ、本隊から離れて全力で馬を走らせた。
デュバル隊長の選んだ騎兵隊が精鋭中の精鋭だったのと同様、彼らもまた馬術と野外でのサバイバル技術に秀でた偵察兵なのだ。
夕方近くになり、西の方から隊員の一人が戻ってきた。
彼の指さすごつごつした岩肌へと目をやると、せりだした岩の下にある小屋から一筋の煙が上がっていた。
「確認に向かいますか?」
「いや、いい。見たところ炭焼き小屋か何かだろう」
副官のダローに返事を返す。
この3年で回復術を身につけたとはいえ、わけあって階級章はイニシエート(カイ戦士見習い)のもの。
今回はカイの教えの半分を封じている状態だ。
カルトから持ちかえった 銀の兜(戦闘力点+2) などで武装しているが、戦闘力も体力も最低限でしかないのだ。
寄り道は避け、迅速にルアノンへ向かうべきだろう。
「ところで、質問をお許しください、サー」
「サーはよしてくれ、慣れていない。お互い名前同士で呼び合おう」
堅苦しいのは自分の流儀であります。お許しを」
断ってから、ナインはおもむろに問いかけてきた。
「その、何故ですか?」
「ん?何が」
「何故、 窮屈そうに鎖帷子を 二 枚 重 ね で 着込んでいるのでありますか?」


(リプレイ154より再掲)


特別な品物

・水晶の星型のペンダント

・銀の兜(戦闘力+2)

・盾(戦闘力+2)

パ ッ ド 入 り 鎖 か た び ら(体力+2)

・カルトの火の玉

・ダイアモンド

鎖 か た び ら( 体 力 点 + 4 )


「うォォォォ?いいいいつの間にィィィッヒ!!!」
「……」
「…………」
おや。おやおやおや。
いったい何がどうしたと言うのだろうか。この疑惑の眼差しは。
大仰な仕草で驚く俺を、何故か周囲の隊員が白々しく眺めている。
「ローン・ウルフ、その、失礼ながらこうした防具は一着で最大限の効果を発揮するようにできています。そしてその……子豚のように丸々と着膨れされていては、かえって動きづらく、戦闘力も落ちると思われますが」


ブタ!
ブタ!!
コブタ!!!
コブタのチャールストンって言ったかこの野郎!!!
いやしくもカイ戦士に向かってその言い草、上等だクラァァァ!!!!






その場で脱ぎ捨てましたとも。ええ。
無論パッド入り(体力+2)の方を。



こうして、俺の体力点の最大値は 24点 に。
いちいち細かい指摘をしやがってBOBちんダローの奴。
しかも、とっくにホルムガードを出立している以上、あらためて持ち物を選びなおす事も不可能ときた。
これなら盾(戦闘力+2)を選んでおけば……
「そうそう、盾も両腕に装備したら、逆に鬱陶しくて武器を扱えませんから」
「……」
「ガチ勝負が一番です」
完璧な先回りだった。
今の俺にできるのは、黙々とアクションチャートの余白に抹殺リストを作ることぐらいだった。




馬の背に揺られ、さらに8キロほど荒涼とした街道を向かう。
やがて、前方から賑やかな音色が聞こえてきた。

(つづく)