ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

アイス・デーモン

【パラグラフ150→→→306:呪われた輝き:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



一刻の猶予もない。実体を持たぬ異界の悪霊に対抗できそうなものは、これしかない……
迫ってくる竜巻の威力で、カイ・マントを、皮膚を切り裂かれつつ、手にしたソマースウォード に力を込める。
刀身の輝きが強くなり、それに力を得て剣を構え直す。
「太陽の剣よ、力を貸してくれ。征くぞ」
「!!???」
一瞬、神殿全体に不協和音めいた激しい唸りが鳴り響く。絶望と恐れの声だ。
竜巻に向かって踏み込んだ俺は存分にソマースウォード を斬り下げた。
無形のアイス・デーモンが両断され、うねり狂っていた竜巻と氷と彫像の破片とが、ばらばらに解れていく。



風が―― 止んだ。



さっきまでの轟音が幻聴だったかのように、神殿に沈黙が落ちた。
異界の敵は消滅し、氷の欠片が転がるばかりだ。
肩で息をつき、太陽の剣を鞘に納めた。
今度は焦ることも無く祭壇に近づく。
二本の棒の間に流れていた青白い電流は、アイス・デーモンが砕け散ると同時に止んだようだった。
彫像の置かれていた場所に、俺は2つのスイッチを見つけた。表面に掠れた古代の象形文字が刻まれている。
カイの第六感が閃き、正しく押せば報酬を手にできると悟る。間違えば致命的な罠が作動するとも。
アイス・デーモン。二重のトラップ。
ここまで厳重に守る古代の宝とは何なのか。
もっとも指は使わない。万が一に備えて念力移動でスイッチを押すのだ。
押し方は……3通りか。
「右、左」「左、右」そして「両方同時」。
勘と勢いが最も重要だ。まず右を、ついで左を押しこむ。



俺はただ、その輝きに目を奪われるばかりだった。
右側の棒の傍にある秘密の嵌め板が開き、美しく輝く水晶 が現れたのだ。しかも触った表面は暖かい。
ただの宝石ではない。それ以上の何か、おそらくは古代人の英知の結晶なのだ。
しばし見惚れ、溜め息をつきながら俺は輝く水晶 をカイ・マントにしまった(特別な品物として扱う
左にも何か隠されているのではとスイッチを操作しようとしたが、スイッチは強く押し込まれ、どんなに引っ張ってもびくともしない。
諦めた俺は階段を下り、先を急いだ。

(つづく)