ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

潜入任務だ、ウルフ

【パラグラフ1→→→273:北へ:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



ソマーランドの最北の街アンスケーブンでは、ソマーランド軍艦『カードナル号』が俺を待っていた。
カルト海の偵察から戻った船には、密かに食料、氷原用装備、橇犬の一群が積み込まれる。
ソマーランド軍でも限られた数人にしか真の任務は知らされていない。
今度の任務は潜入と奇襲。
いかに気づかれず氷の要塞イカヤに接近し、これを叩けるかが勝負だ。
つまりは初のスニーキングミッションなのだとデュバル隊長が言う。
「くれぐれも自重せよ。戦闘を避けるんだ。繰り返す、戦闘を避けるんだ、ウルフ」
「了解、大佐。なぜだか興奮してきた…ウホッ(以下自主規制)」
お互いを目の前にしつつ柳沢慎吾ばりの茶番を続けること小一時間。
先に心が折れたのは俺の方だった。


作戦内容はシンプルなものだ。
ヘール岬から俺は上陸し、イカヤまでは3人の優秀なガイドがつく。
潜入後ボナターを捕らえ、再び船に戻るまで30日の猶予しか与えられない。
既に厳冬期が迫っており、カルト海の大氷塊に捕まれば船はウエハースのように破砕されてしまうからだ。
もし30日を過ぎた場合、船は俺の帰還を待たずに出発する手筈になっている。
現地で防寒装備を受け取るうち、向かうのが極北の地なのだという実感を新たにする。


『カードナル号』は荒れたカルト海を6日間進んだ。
北上するにつれ気温が急激に下がり、遂には甲板に薄氷が張りだす。
7日目の朝にはトーラ島が見えたが、その後猛吹雪の嵐が襲い、船は氷塊の隙間に入り込んでしまった。
夜になって嵐は収まったものの、リューク氷棚の縁に沿って流された結果、50キロ近くコースを外れていることがわかる。
ヘール岬まで戻っている時間は無い。近くの氷棚に降り、任務を開始する。
ガイドによれば、ルートは2つあるという。
一つは180キロ徒歩でクラウドメーカー山を越え、さらに160キロ険しいピアド氷河を犬橇で踏破するルート。
もう一つは、距離は長いがホロド盆地まで290キロ迂回し、尾根づたいにストーム・ジャイアント峠を160キロ進むルート。
いずれのルートも、天候に恵まれていても10日はかかる強行軍となるだろう。


(つづく)