ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

ライガー総督はこれ以上ない味方だ

【パラグラフ31→→→176:ライガー提督:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



総督との会見はいささか衝撃的だった。
折衝の難しい南部の公使などを務めたという経歴から、腰の低い卑屈な老人を想像していたのだが……
目の前に現れたのは、重厚な鎖帷子を平服のように着こなす壮年の騎士だった。
「ようこそ、ローン・ウルフ。今や君こそが、ソマーランドとドゥレナー両国にとっての希望なのだ」
握り返した手は歴戦の兵の鍛え抜かれたそれで、強い握力に腕が痺れる。
夜遅くにも関わらず、実に手際よく宴の準備が進み、贅を尽くした料理の数々が困難な旅の疲れを忘れさせてくれた。
「明日からの試練を思えば、このくらいの贅沢は許されよう」
「有り難うございます、ライガー総督」
「まあ今ばかりは寛いでくれ。おそらく、敵はさらに苛烈に我々の旅を阻もうとするだろう」
ライガー総督の言うとおりだった。
感謝しつつ宴の席に着き、これまでの冒険を話し、また総督の話に耳を傾ける。
ソマーランド人とドゥレナー人双方の血を引く彼は、この町で伝説的な人物として知られていた。
総督はこの10年、海軍を率いて北の大地カルトのアイス・バーバリアンを討ち、勝利を収めている。
数々の華々しい武勲は、戦況を見極める優れた知性に裏打ちされているのだ。
「そういえば先程、我々の旅……と言われましたか?」
「うむ。若い君一人に危険は負わせられん。 王都ハマーダル へは私も同道するし、選りすぐりの部下を3人つける」
勇猛果敢にして冷静沈着。
旅の成功が、より近づいたような気がする。


医者の手当てを受け、 体力を22点 まで取り戻して迎えた翌朝の目覚めは上々だった。
総督と部下の精鋭3人とともに騎乗し、活気づき始めたばかりパックスの街を駆け抜けていく。
峻厳な山に囲まれたドゥレナーの 王都ハマーダル まで、370キロの道のりだ。
苔むした門をくぐったとき、この任務は成功するだろうという自信が漲ってくる。


この時、ダークロードもまた最強の追っ手を差し向けたことを、俺はまだ知らずにいた。
(つづく)