ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ88→→→3:『ゆらワン(略称)』・濡れ衣編:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



ヤッベ、やっちまった……
説明できる雰囲気じゃない。裏口へと走りだす。
その行動が、今度は怯えていた人々を逆に興奮させ、事態は人狩りの様相を呈しはじめた。
飛び出した戸外はすでに夜。満月が村を明るく照らしだす。
宿の裏手には荷馬車職人の店があり、2頭の馬を繋いだ荷車が置いてある。
馬を奪うか、店に飛びこむか。
カイの擬装術は最上の選択を選んだ。干草を積んだ荷車に隠れ、息を殺す。
怒り狂って出てきた群衆……と6人の武装兵……とギャノンにドリア……は、明後日の方角に向け、景気良く走っていった。
一息ついて荷車から転がりだし、夜陰に紛れて通りから通りへと走り続ける。その先になんと武器屋が。
思いがけない幸運に笑みが浮かぶ。いつまでも丸腰では、今後の旅も覚束無い。
僅かだが、任務を達成できる見込みが上がったようだ。


店の奥では、グニオという名の職人(店の名前がまんま『グニオの店 武器づくり』なのだ)が幅広剣 を研いでいた。
さいわい宿での騒ぎはまだ知られていないようだ。
美しい刀身に見惚れている俺に、金貨12枚 で売るという。
「この剣はドゥレナーの鋼鉄で作られているんだ。あんたなら使いこなせるかもな」
所持金が大幅に減ったが仕方ない。握手をかわし、用心して裏から路地へ抜けだす……


「そこまでよ、ロルフ」
「!?」
囁きとともに、喉元に突きつけられた短剣。
背後の闇から女の輪郭が滲み出る。
シルエットロマンス……なんてボケてる場合じゃあない。
絶体絶命だった。

(つづく)