ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

完璧な変装で駅馬車に潜入

【パラグラフ32→→→339:貧窮問答歌:(死亡・2)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



けたたましい鶏の声で目覚める。
雨が降っていた。
ラガドーンの狭い隘路も水煙でよく見えない。
ホルムガードを発ってすでに6日。
パックス港はいまだ300キロも先にある。
手荷物は……ナイフ 、あとはハマーダルの紋章 金貨13枚 きりだ。
ナップザック 本体がないので入手したアイテムも食料も持ち運べないときている。
おまけに空腹で体力点を3点失った。さすがの狩猟術も屋根裏では役に立たない。
体力も残り 12点 。そろそろ危険水域だ。
屋根裏に潜んで馬丁たちの会話を盗み聞きすると、午後1時にドゥレナー行きの駅馬車が出るという。
7日後にパックス港に着くんだとか。
表に回り、駅馬車の御者からパックス港行きの切符を買うことにした。
「パックス港行きかい。金貨20枚 だよ」「まけてくれ」「無理」
3秒で会話終了。
……すごすごと乗り場をあとにした俺の目が、向かいの通りに並ぶ賭博街に惹き付けられた。
商魂逞しい。いい場所に賭場を並べてやがるぜ、ラガドーン。



雨のせいもあってか、中はごったがえしていた。武器を預けてチップを受け取り、様々な台を見てまわる。
やがて、俺の目は『カートホイール』の前で止まった。
こいつはルーレットの一種だが、高い勝率で初心者に味を占めさせ、賭博づけにするための撒き餌だ。
乱数表の数字が選んだ数字ピタリなら8倍、前後賞は5倍。ただし40枚稼ぐとそこで終了。
―― 俺の目的には最適だろう。
早速3枚づつ二連続で5に賭ける。結果は7と4。前後賞を当て、あっという間に19枚獲得だ。ボロいもんだぜ。
気をよくして5枚ずつ三連続で8にかける。
4、4、2。
………?
いや待て焦っちゃいかん、残りは4枚。こういう時は1枚づつだ。運を呼び戻すべく再び5に賭ける。
9。
0。
1。
そして……3。



「………maji???」
この瞬間、文無し大決定。賭場から摘み出される俺。



手近な軒先で雨宿りをしつつしょぼくれていたところで閃いた。
どうして金払う必要があるんだよ?俺はカイ戦士だろ?
もっと 堂 々 と 忍 び こ め !!!
―― 発言が矛盾しているのは、想定の範囲内だ(つまり確信犯)。
御者の目を盗んで馬車に乗り込み、5人の乗客と共に難なくラガドーンをあとにした。
ビバ俺。ビバカイの教え。
だが、危機は続く。
暫くして、ラガドーン君主ラクランの紋章(黒い船に赤い波頭)をつけた武装兵が馬車を停めた。
『出国税』と称して、乗客一人につき金貨1枚の支払いを要求してきたのだ。
小さな皿は俺のところまで廻ってきた。
切符はおろか金貨1枚さえ持ってないのに、どうするよ俺!?

(つづく)