ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

パパ!オーバー・ザ・トップだ!

【パラグラフ276→→→32:オーバー・ザ・トップ:(死亡・2)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



腕相撲のテーブルに名乗りをあげた時、カウンター越しの店主の声援が酒場の喧噪をかき消すかのように轟き渡った。
血も凍るような黄色い胴間声に気力を削り取られつつ、力自慢の船乗りと向かいあう。
いちいち悲惨な展開が続いたが、少しは気晴らしさせてくれよ……!?



船乗り 戦闘力点18 体力点25


盾(戦闘力+2)を失ったとはいえ、こっちは 戦闘力17、体力23
本気を出したカイ戦士に、いかな力自慢だろうと船乗り風情が勝てるはずがない。
まあカイの教えを使うまでもなく圧勝だ―― 体力は8点減った けど。
さぞ大歓声が起きるかと思いきや、酒場は驚きで静まりかえっている。
パッとしない連中め。
勝者は讃えられるのが世の習いだろう……
「いいわンァァ、アンタ!尾骶骨の髄まで青そうな若造なのに強いわネェ!気に入ったわンァァ!!!」
……やっぱり讃えなくていいです。
金貨5枚 をテーブルからかっさらい、悠然と歩み去ろうとする俺の前に暴漢が立ちはだかる。
どうしてくれようか考えてると急に暴漢が白目を剥いて崩れ落ち、驚いたことに背後から太い薪を握ったウェイトレスが現れた。
「君だったか。いやァァ助かったぜ。どう?これから場所を変えて飲みなお……」
「いえいえー。この人たちツケが溜まっている癖にしつこく絡んでくるんですよォォ。天罰。ですよねェェ?」

………このお姉さん目が笑ってない。
さっきの大柄な船乗りより数段凄みがあるッッ!!
「うふふふ天誅!!!ききききき!!!」
「さいならァァ――ッ」
風を喰らって逃げだし、俺は自慢の健脚でラガドーン中を逃げ回った。
暴漢とウェイトレスと店主の叫び(阿鼻叫喚その他のミックスだ)がみるみる遠くなる。
やがて東門近くの駅馬車乗り場に隠れ、疲れ切った俺は干草を寝床に、幸福な夢の中へと落ちていった。

(つづく)