ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

nacht_musik2005-06-23

【パラグラフ165→→→350:王の間:(死亡・2)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



目覚めると、痛みが嘘のように引いていた。
「失った体力点をすべて取り戻す」とある――では、ここは。



白い法衣を着た老人がベッドの脇に立ち、俺を見下ろしていた。その手には薬草の入ったボウルがある。
「カイ戦士、貴方は死の世界に行き、死神の貌を見てきたのです。でも、死神は貴方を死の世界に迎えようとしなかった。そして、貴方の肉体の傷は癒えましたが、本当に傷ついたのは、貴方の心のような気がします。何を悩んでおられるのですか?」
「俺は――
口を開いた途端、奔流のように記憶が甦ってきた。
カイ修道院での虐殺。
折り重なる屍の間を歩き、任務に必要な装備を拾い集めたこと。
バネドンとの出会い。
避難民を庇っての戦闘。
ペラサー王子の死。
湖畔での死闘。
そして――


すべてを聞き終えた老人は俺の手を取り、部屋の外へとうながした。
豪奢なタペストリーや装飾の施された廊下に、ようやく俺はすべてを理解した。
ここはホルムガード城。この老人こそ、王の侍医でもある高位の聖職者。
そしてこの廊下の先に、ソマーランド国王、ウルナー王がいるのだ――



王の間は白と金で統一されていた。鏡のごとく磨きあげられた床に靴音がこだまする。
ウルナー王は、側近とともに中央の大理石の台に地図を広げて討論していた。
振り返るウルナー王、軍の指揮官、居並ぶ大臣たち。皆一様に厳しい顔つきだ。


うながされ、修道院での虐殺から語りだすと、広間を沈黙が包み込んだ。
(つづく)