ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

nacht_musik2005-05-25

【パラグラフ350→→→293:盟友・バネドンとの出会い:(死亡・1)】



立っているのもやっとのバネドンを倒れた柱に座らせてやり、話を聞くことにした。
「私はトランのクリスタル・スター魔法協会から、カイ・グランド・マスターに渡す極秘の文書を携えてきたのです」
「グランド・マスター?修道院長に?」
「ええ」
封蝋の開いた手紙をみせ、バネドンは悲しげに笑った。
「ご覧のように、私は封筒を開け、中身を読んでしまいました。戦争が始まって私も襲われ、仲間とはぐれてしまったのです」
ダークロード軍の主力がダーンクラッグ山脈の向こうに集結しつつあることを示す内容を読み、俯く。あるいはこれが間に合っていれば、カイ修道院で共に学んだ友は、恩師は、死なずにすんだのだろうか。
「あなたがたを裏切る結果になってしまって」
「そんなことはない。バネドン、あんた……君は」丁寧な彼の口調に感化され、あんたはと言いかけて言いなおす。「自分の仕事を成し遂げた」
「違います。先日、私の兄弟子ボナターが禁じられた黒魔術に手を染め、長老の一人を殺して行方をくらましました。彼はダークロードの手引きをしていたらしいのです。我々はカイ戦士の期待に応えられなかった……それより、成し遂げた、とは?」
強い怒りをにじませて語ったバネドンの口調が困惑に変わる。
カイ修道院がヘルジェダドの悪の手に落ちたことを静かに語ると、その顔がふたたび引き締まった。
首から鎖を外し、彼は水晶の星型のペンダント を俺にさしだす。
「あなたと私は、この暗黒の時代において真の友といえるでしょう。このペンダントはこの先、きっとあなたを守ってくれます。私はトランに戻らねばなりません」
「ありがとう、バネドン。俺も首都へ急ぐとしよう。よき旅を」
水晶の星型のペンダント を首にかけ(ナップザックに入れない特別な品物 となる)、再会を誓った俺は廃墟をあとにした。
この任務を成功させることをあらためて強く誓う。

(つづく)