ゾアハンター4 カムラッドの証人(ISBN:4894568748)
(大迫純一、ハルキ文庫)
「結局貴様は、そういう奴だ!」
ゴーストが笑う。
焼け焦げ爛れた、しかし丈と同じ顔で。
「何度裏切られても、そうやって阿呆どもを護ってやろうとするんだ!つまりなゾアハンター、貴様はあの阿呆ども以上の阿呆だということだ!」
それは、まさに真実だ。
だが、真実であるということと、正しいということとは違う。そして、正しいということと正義とは、また違うのだ。
ましてやそれが、血を吐きながらの約束であるならば。
「てぇことは、だ」
言いながら、丈は高出力マイクロ波発振器を内蔵した直刀を、顔の横に構えた。
「そんな俺と真剣にやり合おうってンだから、お前も大した阿呆だってことだな?」
ゆっくりと腰を落とす。
左膝が抜けかけるのを、体重の移動できわどく踏ん張った。
「ちげぇねえ」
にやり。
「じゃあ、阿呆どうしで遊ぼうじゃねえか」
にやり。
廊下の端と端、数十メートルを隔てて対峙したサイボーグと捕食獣は、同時にリノリウムの床を蹴り、次の一瞬でその間合いを詰めていた。