第2話・ある意味ファンタジーの地図をさがせ(仮題)


そんなこんなで我らが君主“七人の敵がいる”ホッケー様の誕生日から数日後のこと。
騎士団長“ロックの子”キャラメルは、迷宮それ自体が改変・再構築を繰り返す、危険な国境周辺を巡察していまった。
道中、半死半生の貴族っぽい男性を助けたキャラメルは、神殿に赴き神官長である“風が吹けば桶屋が儲かる”ヒマワリに癒しの奇跡を施すよう依頼しまったところ、どうも期待できそうもないので、普通に治療すべく王宮へ連れて行きまった。


「せっかくだから身ぐるみはいでおきましょう」
という従者“毒をもって毒を制す”チェスの提案により、意識不明の男性をパンツ一丁にいたしまった。
んで。
意識を回復した男性に根掘り葉掘り質問する『立憲マジカル辺境伯領』の経営陣。
「パンツ一丁で倒れていたあなたは誰ですか?」
「どうしてパンツ一丁で倒れていたのですか?」
「パンツ一丁でどこからやってきたのですか?」


「私の名はコーネリアス。『独立ファンタジー合衆国』からやってきました。道中部下たちとはぐれ、私一人でここまでたどり着いたのです。人民の待つ『独立ファンタジー合衆国』に帰れるよう手を貸してください」
とかパンツ一丁の男性改めコーネリアス国王陛下はのたまいまった。
んで。
作戦会議に入る経営陣一同。
「『独立ファンタジー合衆国』ってアレですか?50のファンタジーが寄り集まったようなッ」
「ていうかその国の存在自体がファンタジーだったりしてッ」
「ある意味本人がファイナルファンタジーだよねッ」


とか言いつつ自白剤を打って国の規模その他を聞きだしたので、すっかり侵略する気満々。
ただし『独立ファンタジー合衆国』への行き方がわからないとお話にならないので。
こないだ行ったばかりの『立憲マジカル辺境伯領古代図書館』で地図や古文書を漁る算段をいたしまった。


「助けてくださぁい!助けてくださぁい!」
ヒマワリ再び大絶叫。忘却界にまします獣頭人身の神・ガイギャックスに祈願したことでありまった。
ちなみにガイギャックス神の神々しい御姿はネクロマンサーゲームズの登録商標そっくりであります。
ポクポクポク・・・チーン。
一休さんライクな音と共に到着した地獄エレベーター。
「最深奥の部屋にはモンスターが10体」と景気のいいことを書いた紙が。
一同顔面蒼白。


がしかし。
ブルータルなサヴェッジスピ−シーズでバーバリズムの使徒的存在であるところの帝国主義者一同としては、領土拡張の欲望には勝てっこないのでありまった。
んで。
いそいそと準備を整え出発侵攻であります。


んで。
第1回でこつを掴んだ一行。
罠を回避ッ!
部屋を探索ッ!
通路を踏破ッ!
行く手を塞ぐモンスターをちぎっては投げちぎっては投げ・・・兎に角撃破!
肉獲ったどー!
ケダモノの肉を囲んで『レベルの上がった踊り』を踊り狂う悪魔崇拝者の一行なのでありまった。


実際のところ、キャンプを張るときは、〈探索〉の高い人が今いる部屋を捜索判定→〈武勇〉の高い人が通路を捜索判定→〈魅力〉の高い人が休憩判定で全員のヒットポイントを回復するといい感じに。


んで、シークレットドアを蹴破り、建材が生きている部屋を素通りして、図書館の最深部。
どこからともなく押し寄せてくる難民の群れ。
「おお・・・まさかあれは追放した父上!ウェルカム!」
適当かつ大らかなホッケー様。
ところが難民を受け入れると自国の施設が1個破壊されると聞いた途端、君子豹変いたしまった。
「ええーいッ散れ散れーいッ!!!」
蜘蛛の子をそれはもう全力で蹴散らしまったのであります。


んで。
問題のモンスター10体との大乱闘。
新スキル〈乱舞〉で攻撃の命中率が上がったものの、〈首斬り〉不発でイマイチ決定力を欠くヒマワリちゃんでありまったが。
後衛2人の支援射撃→前衛2人の白兵戦コンボで辛くも撃破。
かなりギリギリな戦いでありまったが、とにかく勝利。
『独立ファンタジー合衆国』への行き方を記した地図をハケーンしたのでありまった。


んで、数日後。
帰国の途に着くコーネリアス陛下を国境付近でお見送りいたしまった。
しかもいつの間にか衣服着用。
せっかくだからとお土産に三冊の聖書を贈呈いたしまった。
が。
コーネリアス陛下が迷宮の角を曲がって見えなくなった途端。


ギャッ


ギャギャーッ


静寂。


口笛でアマリリスなど吹きつつ、回れ右した経営陣一同でありまった。(終わり)