モスクワ、2015年(上・下)

nacht_musik2004-04-23

(ドナルド・ジェイムズ、扶桑社)
“世紀が変わっても、ロシアの風土と政治は変わらない”
2015年、長年にわたってロシアに悲劇をもたらした内戦は終結した。人民戦線軍の首都モスクワが陥落し、国家主義者・民主主義者連合軍による新政府が誕生したのだ。
新時代が到来しても、地方都市のしがない警官ヴァジムは絶望の日々を送っていた。幼い息子ミーシャは戦火に消え、妻ユーリャは反政府活動の一員として地下に潜伏。しかも、政治の横暴は市民に犠牲を強い続けるばかり・・・ところが、副大統領レオニード・コバの影武者という驚くべき任務がヴァジムに与えられた!
殺人課警部としてモスクワ第十三管区警察に赴任した彼を待ち受けていたのは、若い女性ばかりを惨殺する殺人鬼「モンストルム(怪物)」事件だった。慣れない捜査に影武者としての任務、加えて市内に潜伏してテロをたくらむ妻の存在とが、彼を翻弄する。やがて明らかになる殺人事件の意想外の真相は、もう一つの怪物=政治体制をも根本から揺るがす最後の戦いへとヴァジムを導いてゆく!