ストームブリンガー、魂を盗む魔剣

エルリックはなかば嫌悪、なかば官能にも似た喜びのいりまじった心持ちで、おのが剣をみつめた。「あるものは、これに心と意思があるのだという。こいつが妖魔の仮の姿だというものもある。呪われた人間どもの魂がここから出られずに、凝りかたまっているという説もある」

指のほっそりした白い手をさしのべ、とろうとすると、黒い剣からやわらかな呻きが発せられた。それは重く、完璧なバランスを持った、両手使いの長大な広刃の剣で、柄は横に長く、刃はなめらかにはば広く、柄から切っ先までは5フィート以上もあった。柄近くには神秘のルーン文字が刻まれ、エルリックでさえ、その意味が完全にわかるとは言えなかった。