本文より

「アリオッチ!アリオッチ!死と魂を!」
異様な光を放つ剣をふるい、真紅の目を瞋恚の炎に燃やす、地獄からあらわれいでた白面の悪魔のことをひとびとは語り伝えるであろう。この世を越えたものの力に憑かれ、みずから血祭りにあげたものと等しくその力に蹂躙されるその者のことを。かれは情け容赦なく、見さかいなく、そしていささかの残忍さもなく殺した。狂った狼のように殺した。殺しながら、大声で笑った。
(本文p323)