本文より

・・・鞘から甲高い声をあげる魔剣を引き抜き、無感覚な空に高々とふりかざし、馬をはねあがらせた。蹄が宙を掻くと、幾度も幾度も、苦い怒りとみじめさのかぎりの声をふりしぼって叫んだ。
「ああ、呪われよ!呪われよ!呪われよ!」
だがそれを聞いたものは・・・かれの叫んだ相手には神々も含まれていたかも知れないが・・・知っていた。真に呪われているのは、メルニボネのエルリックであることを。
(本文p245)