本文より

・・・それから、真黒な真実が、ゆっくりと形をなしてきた。エルリックは獣のように悲痛な呻きを上げた。かれは愛する娘を殺してしまったのだ。サイモリルの血を吸った魔剣が、その手を離れ、高い音をたてて階段を落ちていった。すすり泣きながら、エルリックは娘のかたわらに膝をつき、両腕でその体を抱きあげた。
「サイモリル」全身を波打たせてかれは呻いた。
「サイモリル・・・・・わたしがおまえを殺した」
(本文p77)