ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ100→→→パラグラフ242:ビロードの篭城都市:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


 
 タホウ――広大な都市を内包する古代の拠点要塞――は、月明かりの下、その壮麗な景観と 
恐るべき威容を誇っていた。赤い石と灰色の岩で形作られた堂々たる城壁の連なりと数知れ 
ぬ塔は、その外観をビロードの柔らかな輝きに見せかけ、ためにこの都市はしばしば『ビロー 
ドの城塞』と称される。 
 聳え立つ塔と高い仕切り壁の向こうには、千もの尖塔や小塔が森の木々のように密集し、 
並び立つ光景を見ることができる。ごく小さな明かりが無数の窓と門で煌き、素晴らしい 
都市の光輝を更に高めている。 

 

<タホウ――天鵞絨の城塞都市がローン・ウルフを待ち受ける> 
 


月下に煌く大要塞。それはまさに夜の海に浮かぶ古の箱舟、AON世界の象徴だった。
近づくにつれて視野一面に聳え立つ城壁の重厚さと目も眩むばかりの高楼、堅固にして壮麗なるその在り様に圧倒される。
街道はやがて左右に篝火の立ち並ぶ、イルミネーションのトンネルとなった。
爆ぜる光のもとを潜り抜けて巨大な落とし格子の突き立った南門へと向かう。
じきに門衛詰所で叫びかわす声が聞こえだす。
黒い水を湛えた濠にかかる跳ね橋を渡ると、落とし格子の奥、アーチの先でベルが鳴り響いた。
「2人の民間人と思しき乗り手が南門に」
兵士らしき声に、別の声が返事をする。
「通用門を上げろ」
鎖の轟音と石の削れる音に、落とし格子の開く瞬間をいまかいまかと待ち構え……
「おい、開いたぞ。入れ」
「……」
「…………」
「何してんだよ、早く入れってば」
城門の脇、のっぺりした石壁に切れこみが開いて、そこから陰になった守備兵が手招きしていた。
・・・いや、大丈夫。シラけてない。スゲー仕掛けだぜ、古代都市(棒読み


バネドンに続いて石造りの狭い通廊を進み、城門の内側にある小さな敷地に辿り着く。
何気なく内側から城壁を見上げ、俺は絶句した。
「おい、バネドンこれは……」
「分からない。戦争が近いので厳戒態勢なのだろうが」
都市を取り巻く城壁の手摺から1ダースもの兵士が身を乗りだし、俺たちを石弓の照準におさめているのだ。
緊張しながら待つことしばし。
小さな内扉が軋んで開き、広刃の槍を携えた武装兵が2人現れた。
「お前たちは何者だ。何故、タホウへの入城を求める?」



・招待状 を持っていて、それを見せようと思うなら、321へ。
・タホウ市を守るためにやって来たのだと警備兵に話すなら、196へ。
・タホウの『るつぼ』に入るつもりだと告げるなら、60へ。


ここでも招待状 が役に立った。
下っ端の警備兵はなにも分かっちゃいなかったが、呼ばれて出てきた守備隊の指揮官は筆跡をそれと認めたようだ。
だが、市内に入場する代わり、馬を押収されてしまう。
「議会の命令なのですよ」
どこかシニカルな口調の指揮官は、口元を吊り上げた。
「非常事態宣言が解除されるまで、市民に所持するすべての馬は、守備隊厩舎に預けねばならない―― とまあ、こんな具合でね」
或いは指揮官も評議会の決定を苦々しく思っているのだろうか。
預かり証 です。返却の際には必要なので、くれぐれも無くさぬよう」
妙に親しげな指揮官から上質な羊皮紙に印字された預かり証 を渡された。
特別な品物 扱いだが、幸いにも小さな紙なので持ち物カウントには入れなくて済むらしい。
「明朝、砦に来てください。敵の攻撃が始まったら、貴方がたにも戦闘区域が割り当てられることになります」
「感謝します、指揮官殿」
バネドンが丁寧に頭を下げ、詰所を抜けだす。
どうやら、戦える者はすべて、タホウ防衛戦に駆りだされることになりそうだった。
朝が訪れる前に、タホウのロアストーン を探し出さねばなるまい。
決意を新たにしつつ、戦時の備えでごったがえす詰所前の通りに足を踏みだした。


通過パラグラフ:(100)→321→242 治癒術の効果:+2点   現在の体力点:22点

(つづく)