ゲームブック・オールタイムベストテン

新年明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。
恒例となりつつある感のある新春特別企画ですが、今年は『ゲームブック・オールタイムベストテン』と題し、皆様からのご意見を募りたく存じます。
投票要領は下記のとおりとし、締切は1月31日(木)までといたします。
皆様ふるってご参加ください。
(投票要領につきましては、id:washburn1975さまの『映画オールタイムベストテン』を参考にさせて頂きました。この場を借りて謝意を申し上げます。)

参加方法

 好きなゲームブックのベストテンを挙げて頂きます。
 ブログをお持ちの方は、ご自分のブログで書き、このエントリにトラックバックしてください。
 ブログをお持ちでない方は、このエントリのコメント欄にお願いいたします。
 バトンではありませんので、取り上げているブログを見ても、そちらではなくこのエントリに、直接トラックバックもしくはコメントをお願いいたします。
 選んだ理由や順位を記載する必要は特段ありません。

採点方法

 1位は10点、2位は9点、3位は8点、以下同様に1点ずつ減っていき、9位は2点、10位は1点といたします。
 順位が付けられない方は「順不同」と明記してください。一律に5.5点といたします。
 10作も選べない、という方でも参加いただけますが、10作未満の場合、採点の都合上「順不同」扱いといたします。あらかじめご了承ください。

作品の選考基準

 雑誌収録作品、未邦訳作品、同人作品などを問わず投票してください。
 ただし、要電源作品(携帯電話で配信された作品を含む)については、ゲームブックとしての明確な定義がないことから、今回は対象外といたします。
 シリーズ作品は、それぞれ独立した作品として扱います。「シリーズ全体への投票」は無効とし、シリーズ第1作への投票として集計いたします。
 たとえば『ルパン三世』への投票があった場合は、第1作『さらば愛しきハリウッド』への得点となります。

選ぶときの注意

 同名の作品(『ゼルダの伝説』等)が複数存在する場合、なるべく、出版社、発行年などのデータを参考情報として一言つけ加えておいてください。
 雑誌収録作品については、出版社、雑誌名及び発行年などをお願いいたします。
 同人作品については、同じく発行サークル、発行イベント及び発行年などをお願いいたします。


ちなみに夜音さんと相方BOBちんの選ぶオールタイムベストテン。解説はご参考までに。



1.ゲームブック ザナドゥ(JICC出版局 1986/12/25)



朕「堂々の第一位……ベスト・オブ・ゲームブック!」
B「ゲームブックでしか不可能な遊び方を追求した、集大成的作品だな。コンシューマー版と同じ日本ファルコムの宮本恒之氏が作者なのも特筆に値する」
朕「コンシューマー版が先行しているところを、敢えて別媒体として作る意味を何処に求めるのか……そのひとつの回答だと言えるかな?」
B「パラグラフの進行を利用したトリックがあったり、レベルアップがストレスなく管理できたり、他のシステム重視型ゲームブックに比べても洗練されている印象がある」
朕「モンスターのブチ抜きイラストや擬似3Dダンジョン的なイラスト表示も凝っていたし、冒頭のアイテムカードを切り離して、シャッフルして使うあたりもビジュアル面で手を抜いていない」



2.ルパン三世 戒厳令のトルネイド (双葉社 1991/12/10)


朕「シリーズ19作目にして最終作!主人公は……次元!」
B「ハードボイルド調のADV、後半はマンハッタンを舞台にしたダンジョン要素を取り入れている二部構成になってる」
朕「ポイント管理がない上、ランダム要素も排除されているという、選択肢だけでストーリーが進む形式はルパンシリーズでも珍しいんだけどね」
B「原作キャラ固有の能力とパラグラフごとの状況から最適解を読み取っていくのが面白い」
朕「敢えてルパンを主人公から外して、NPCとして神出鬼没に物語に関わってくるのが『ルパン三世』らしいよね」



3.スーパー・ブラックオニキス(創元推理文庫 1987/12/24)


朕「既にして鈴木直人作品の完成形という感がありますが……」
B「人気のあるドルアーガ3部作と比べても、1/3の項目数で全部やり遂げただけあって、各パラグラフの密度が濃い。少しずつダンジョンに潜って攻略する双方向ゲームブックの教科書的存在だな」
朕「ザナドゥとは逆に、ゲームブックがどこまでコンシューマーのダンジョンRPGに近づけるか、という当時の試みの中で、最も回答に近い作品だろうね」
B「ギミックだらけの双方向MAP、仲間を選べるパーティバトルの恩恵、成長要素、キャラ立て、謎解き、次なる謎への伏線と、現行のコンシューマーRPGにある要素は大抵取り込まれている」
朕「タイムリミットがついていて、しかもシステム管理も複雑じゃないというプレイアビリティの高さを評価しました」




4.ローン・ウルフ 恐怖の王国 (ホビージャパン 1987/4/10)


朕「ほぼ全ルートをリプレイでやり尽くしているので、今更説明不要ですね」
B「シリーズ中でも秀逸なのは自由度の高さ。フルカラーの地図を眺めつつ冒険の旅が楽しめる。難易度も邦訳8作で最も高いんだけどな!」
朕「英国人のブラックユーモアの産物らしき凝りに凝ったバッドエンドが幾つも仕掛けられていたりね……」


5.ファルコン3 魔神バール(ホビージャパン 1986/6/20)


朕「時間捜査官・ファルコンシリーズ全6作の3作目。実は本筋とは無関係の番外編だったりします」
B「所々に映画ネタが取り込まれている。しかも『物体X』とか腹筋ブレイカーなのが」
朕「各時代のステージに仕掛けられた所定のイベントをクリアすると話が進むようになっていたり、イベントの起こらない外れの時代があったりとか、挙句タイムパラドックスを起こしちゃったりとか……」
B「この巻単体では無理なんだが、次巻のチェック表でエージェントしての成績表を出せるシステムも好きだった」
朕「成績表によっては士官候補生に格下げー『アカデミーへ戻れ、ファルコン!』という結果も」



6.ブラッド・ソード シナリオ#2 魔術王をたおせ!(富士見文庫 1988/7/20)


朕「初見の時の衝撃は凄かった。後から考えてみるとTRPGへの方向性を示唆した作品だったんだけど、ちゃんと単独で遊べる作りになっている点を評価しました」
B「シナリオ#1も良かったんだが、展開がオーソドックス過ぎてな。パーティプレイ前提のシステムの持ち味を最大限生かしているのは、邦訳分で言えばシナリオ#2だろうな」
朕「全5巻完結のところを、邦訳は4巻で止まってしまった訳ですが、チームトムトムさまの5巻リプレイ(http://gamebook.at.webry.info/)がさる12月10日をもって完結しました!拍手!」



7.ドラゴンの目(創元推理文庫 1986/9/10)


朕「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジーシリーズの5作目。翻訳者はあの大森望氏」
B「炎のトラ!疾風怒涛!死の群れ!」
朕「12種類の個性的な魔法を駆使して幾つもの関門を突破し、クリアを目指す……『バルサスの要塞』的なよくあるパターンなんだけど、魔法が兎に角派手で格好いいよね」
B「とは言えホイホイ適当に魔法を使っているとクリアは出来なくなるがな!最適解を出したからと言ってその場でマルが貰える仕掛けにはなってない」
朕「どの魔法を使うか、あるいはアイテムで切り抜けるか……高度な先読みの要求される難易度と、派手な攻撃魔法を繰り出す爽快感のバランスのとれた構成を評価しました」


8.機動戦士ガンダムZZ3 エニグマ始動(ホビージャパン 1987/10/20)


B「これもパラグラフ選択のみで進むゲームブック。秀逸な完成度だな」
朕「ガンダムZZ3部作の完結巻。元ティターンズの強化人間の主人公が欧州を舞台に彷徨します」
B「記憶喪失の主人公がアイデンティティを求める旅、という王道にハードボイルド調の語りがイイ!」
朕「ガンダム等のロボ操縦系は作者が戦闘システムにリアルさを求めてしまうせいか煩雑になりがちなんですが、状況判断のパラグラフ選択のみで遊べる潔さを評価しました」
B「HJオリジナル設定のMSの薀蓄も味わい深い。ネオジオンの美少女将校も出てくるしな!」
朕「この辺、過去エントリでも3作すべて取り上げたのでご参考に」



9.魔獣王国の秘剣 (二見書房 1986/9/25)


朕「J・H・ブレナン先生のドラゴン・ファンタジーシリーズの5作目。復刊新シリーズも2作目まで出ています」
B「飽きさせないギミックが基本コンセプト。3巻以降は特にその傾向が顕著な訳だが」
朕「デザイナーの遊び心と容赦の無いサドンデスのバランスが面白いよね」
B「死んでも面白い、笑ってまた遊べる、というのが、ドラゴン・ファンタジーシリーズの稀有な長所だと言える」
朕「ただの本に留まらない附録的な仕掛けや地図が各巻ごとについています」
B「本文の謎や小ネタもクセになるんだよな。ブレナン先生の遊び心は最高。この独特なアクの強さが、今に至るまでオールドファンを離さない理由だな」



10.グラディウス (双葉社 1986/9/08)


B「ファミコンゲームブックで業界を席巻した双葉社の初期の名作だッ!」
朕「STGゲームブック化にあたってはADV化の作業が必要ですが、その辺を上手に置き換えている感があります」
B「加藤洋之後藤啓介の繊細なイラストも80年代の売れ筋だしな」
朕「ザナドゥもそうですが、効果的にイラストを使ったゲームブックは意外に少ないからね」
B「キャラの掛け合いも面白い。絶えず主人公と衝突するヒロインは今で言うツンデレ
朕「……まあ、人間ドラマに頼りすぎず、ビックバイパーでの戦闘シーンも再現度高いです」
B「そのくせハンドブラスターでダッカーに立ち向かう、なんて燃え展開もあるしな」




次点(順不同 計20冊)

ウルフヘッドの誕生(創元推理文庫
パンタクル2(創元推理文庫
ニフルハイムのユリ(創元推理文庫
灼熱の監獄島(ルパン三世
黄金のデッドチェイスルパン三世
ゼルダの伝説 蜃気楼城の戦い(双葉社

死の城塞(ホビージャパン
ディープダンジョン2(ケイブンシャ
盗賊都市(社会思想社
七匹の大蛇(社会思想社
奈落の帝王(社会思想社
モンスター誕生(社会思想社
凶兆の九星座(雑誌RPGamer付録)

ドラゴンクエスト3 中 伝説の宝珠を求めて(エニクス文庫)
ゾーク1(JICC出版)
ドラゴンスレイヤー(JICC出版)
魔術師の宝冠(富士見文庫)
魔人の沼(富士見文庫)
闇の黄金郷(富士見文庫)
竜の血を継ぐ者(創土社



総評

朕「ベストテン全体で見ると、案外順当なランキングのような気もしますが……」
B「とは言えランキングごとの差は実際のところ相当大きい。次点はぶっちゃけダンゴだけどな」
朕「出版社別に見るとHJ社作品が3作ランクインですが……その辺は」
B「あくまで結果。創元、双葉が2作づつ、富士見、二見が1作ランクインしてるし、どっちにしたって1位がJICCだしな。逆に出版社に遠慮して選んでもフェアじゃないし面白くないだろ」
朕「まあ次点を見ても、ルパンシリーズの強さは異常な訳ですが」
B「むしろようやくFFが4作入ったのが意外と言えば意外だけどな!」
朕「FFは単体で選ぶと作品としての粗がどうしても出る感じが難点なのかな……」
B「関連で言えば、オマージュ精神溢れる『凶兆の九星座』は当時を偲ばせる面白さだった」
朕「ソーサリー4部作ですら『七匹の大蛇』1作ですが、これは?」
B「重厚なRPG大作だとは思うがな。ゲームブックとしての出来はランキング作品には正直届かないか……」



おまけの番外編(BOB選)

『怪人ラプリンス2 獄門島の決闘』
『時給戦士スマイルバン―追跡!謎のG計画ドキドキ編』
『メディカル・アドベンチャー 癌の雄叫び』
『ロシア不正規隊』
若桜木先生のエスパーシリーズ全部』

B「ある意味オールタイム5を挙げてみまんた」 
朕「いや……さいとう・たかを先生の『ロシア不正規隊』は兎も角、知らない方には何がある意味なのかすら分からないから……」
B「『癌の雄叫び』は医学部の実習生向けを標榜する謎のゲームブックだ。リアル知識が必要な上、何をやっても患者が死んでしまうという」
朕「何というトラウマ……」
B「違うわー!諸行無常と命の尊さを語っておられるのだー……多分」
朕「秋元康プロデュースだったら売れたかもね……大体最後のエスパーシリーズ全部って何?どれかに絞らないとダメだろ」
B「いやこの本は……へあッ」
(バカはエスパーゲームブックを取り落とした挙句、冬コミで大量購入した同人誌の山頂付近に蹴り込んだ)
B「マイレコメンドがジャンクヤードの山に埋もれ………………ィィィ!」
朕「それが最短手とか言うんじゃあないぜッ!」
B「………………………………」